こんにちは、コウです^^
それでは今日も元気よくやっていきましょう!
本日のテーマはこちら。
【1-1話-前編】バイクの剛性は全体のバランスで決める【機材編】
こういうテーマでやっていこうと思います^^
記念すべき第一回目のネタは、「機材編」からお届けします。
個人的に書きやすいネタである、という事もあります(笑)
ただ、かなり長くなってしまったので、前編、中編、後編の三本立てでお送りします。
分割するのは好きではないのですが、あまりに読みづらいので分けようと思います。
今回は「前編」です。
中編はこちらから↓
後編はこちらから↓
今回は、誰しもが一回は目にする「剛性」についてのお話です。
と言っても、「硬ければ速くなる」「柔らかいと反応が鈍る」みたいなありふれた内容ではありません。
先に結論からお伝えしましょう。
剛性はバイク全体、ライダーの装備も含めて考える。必要とあらば剛性を落とす事も考えよう
これですね^^
なぜそう考えるようになったのか?
元々「剛性至上主義」だった私が、剛性をわざわざ落とす事も視野に入れ始めたきっかけも交えながら、一つずつ紐解いていきましょう!
【「剛性」の定義】
まずは一般的な内容から見ていきましょう。
いきなり沼に引きずり込むのはいけないので^^;
そもそも剛性とは何かというと、「曲げやねじりによる変形のしづらさの度合い」を指します。
工学分野の言葉で言えば「バネ定数」と同義です。
バネ定数で剛性とは何ぞやの例を示しましょう。
例えば上記のバネの長さが100mmで、バネ定数【10N/mm】というバネがあるとします。
【10N/mm】の意味は、「10N≒1.01kgfの力で1mm縮む」となります。
これを10mm縮ませようと思ったら、100N≒10.1kgfの力を加えなければいけません。
これが一般的に言う「剛性」の定義で、少し言い換えると、物体を変形させるために必要な力と言えます。
ちなみにバネが全く縮まない場合、一切変形していないので、そのバネ
…バネ?
……バネのような変形しない物体は「剛体」と称します。
機械でありったけの力をかけてようやく変形するような、言い換えれば人間の力では到底及ばない物体の場合も、広義的には剛体とみなして良いでしょう。
【大前提をお伝えします】
色々書き始める前に、まず皆様に押さえておいて頂きたいポイントがございます。
機材は硬ければ硬い方が良いです。
乗り手がその硬さに合うか合わないか。
それだけです。
なんでそう考えるようになったのか、その経緯を少しお話します。
遡る事今から10年ほど前、私が自転車の世界に足を踏み入れた2013~2014年頃のお話です。
まだ競技のきの字も興味が無かった頃、自転車そのもののアップグレードには興味があったのです。
自転車には色んなメーカーが参画していて、かっこいいのも多いな~程度にしか見ていなかったのですが、たまたま違うメーカー同士のパーツ剛性の差に関する記事を見つけたんですね。
それ以来、
硬いスパルタンなパーツを付けたバイクの方が速いんじゃないか?
と考えるようになって、機材の剛性を上げる方法について色々調べだしたんですね。
わざわざスパルタンな方を目指しに行く、世にいう「脳筋」ってやつですね(笑)
その頃よく目にしたのが、
結局剛性って高い方が良いの?低い方が良いの?
剛性が高いと疲れないか?でも柔らかいと力がロスしない?
こういうタイトルの記事ですね。
当時、このテーマについて言及しているブログ、書籍など読み漁りましたが、特に芯が通った記事には出会えず、結局我流で剛性について考えるようになりました。
何が引っかかったかというと、どの媒体も結局似たような内容しか語っていないのです。
例えば、硬いフレームには柔らか目のホイールを合わせようとか。
それは良いんですよ、重要なのはそこじゃない。
「いやいや、その過程は?なんであなたはそう思ったの?知りたいのはそこなんだよ!」というのが分からない。
一見すると真理っぽい事を述べているだけの記事の多い事多い事。
酷いのだと、どこか別のサイトの記事を丸々コピーしただけの内容が載っているブログもありました。
なので、自分の出来うる範囲で、剛性を上げるとなぜ速くなるのか?なぜ硬い柔らかいの議論に終わりは無いのか?について追究した次第です。
まず理想論を述べますと、機材自体は柔らかいよりも硬い方が良いです。
理由は単純、その方がロスゼロでパワーを地面に伝えられるからですね。
与えた力を確実に後輪が地面を蹴る力に変換してくれる特性の方がレースレベルでは有利ですし、実際そういうバイクを求める方も多くいらっしゃるでしょう。
理論上はそれで良いんです。
問題は、人が実際に乗った時に起きるのです。
全く同じバイクに乗っても、「硬い」と感じる人と「硬くない」と感じる人がいます。
どこでそう感じるかというと、バイク側の剛性に脚が、筋力が、身体が追い付いているかどうかで決まってきます。
そしてそれを細かく紐解くと、トレーニングや競技レベルの差、体格、足裏への反発の度合い、剛性感の好み、ペダリングスキルなどなど、色んな要素の複合によって、同じバイクでも足裏を通じて伝わってくる剛性感は変わってきます。
私が所有する「BMC TMR01」。
かつて「硬すぎて踏み切れない」と評価しましたが、今ではどうでしょう?
色々工夫を凝らす術を身に付けたので、全然普通に踏み切れます^^
剛性とはそういうものなのです。
ベタな表現にはなりますが、足裏から伝わるバイクの圧と、それに対する体の反応に耳を傾け、走りやすくなる工夫を凝らす事で制する事が可能です。
【剛性を上げすぎた結果、スプリントで脚攣りの大惨事】
では、実際に私が阿保みたいにバイクの剛性を上げた結果、失敗談をご紹介します。
今でこそ剛性調整という方法を採っていますが、昔の私は「機材はどこまでも硬い方が良い」を実際にやっていました。
私の場合、クランクを分不相応なパーツにして痛い目を見ています。
そのクランクとは、当時のDURA-ACEの剛性を越えていた「ROTOR 3D24」。
直前まで使用していたのは、アルテグラクランクでした。
このクランク、ひたすらに硬い事で有名な逸品なのですが、面白い変化が起きました。
いつもならトルクで押せるコースが、トルクで押しきれくなったのです。
アルテグラクランクも私含めホビーレーサー目線ですと十分な硬さがありますが、3D24はその遥か上を行きます。
さらに写真の通り「エアロタイプ」だったので、撓みというか逃げ場がありません。
その硬さが裏目に出たのが、毎年大本命の大会として出場していたシマノ鈴鹿。
ゴールスプリントでふくらはぎを攣りました。
もうあと100mも無い距離でふくらはぎに「ビキッ!!」って稲妻が走るんですよ。
スプリント中というバイクを振り回している最中に脚を攣ると、バイクのバランスを取るのが一瞬ですが急に難しくなります。
しかもシマノ鈴鹿のゴールは緩い上り坂ですが、選手は50キロ後半~60キロ以上のスピードで走り抜けます。
下手にペダリングを止めれば、後続選手に追突され落車を引き起こしかねません。
スプリンターにとってこれほど恐ろしい事は無いですね…。
幸いなことにそのまま押し切れて良い結果を得られたものの、そんな最悪なタイミングで攣ったわけです。
本当に危険な機材選択だったと今では考えています。
では、なぜそんな危険な賭けをしたのか?
当時の私は、硬い機材に脚を慣らす事もトレーニング、と考えていました。
例えば、幻のツール7連覇を達成した「ランス・アームストロング」。
ドーピングで得た記録とはいえそれでも7連覇はとてつもない事ですが、トレーニング内容も凄まじい物があります。
彼は乳酸が溜まりまくった状態でもトルクを出し続けるトレーニングを積んでいたと言います。
(ちなみに疲れてくると脚に力が入らず動かなくなるのを「乳酸が溜まった状態」と表現する事が多いですが、最新の研究ですとこれは誤解だそうです。詳しくは別の回で。)
通常なら、乳酸が溜まってくると脚が思うように動かなくなり、終いには脚に力が入らずサーッと冷たい感覚が出てきたりするのですが、「その状態に体を慣らす事」がランスのトレーニング方法で得られる効果の一つなわけです。
その考え方を少しアレンジし、機材剛性に負けない脚・筋力を作れば速くなれると考えていたわけです。
乗り手を機材に合わせに行く考え方ですね。
ただ、それって我がの実力を顧みず、段階踏んでくところを何段もすっ飛ばして無茶な事をしていたわけです。
結果的に、関節は痛めるわ、普段以上に筋肉を酷使するわで、想像以上に体にダメージを溜めてしまう結果となりました^^;
それ故に学んだことが以下の通り。
剛性至上主義は、乗り手をじわじわと擦り減らし、なぶり殺します。
ここで一つ提言。
ロードのスプリンターは、最後のスプリント勝負まで残れるかが全てです。
ロードのスプリントって言っても、30分~1時間もかからないクリテリウム、150キロ先でスプリントするロードレース、色んな形態があります。
山を越え谷を越え、カーブを曲がり、ダッシュがあり、色んな障壁を乗り越えてようやく「ゴールスプリント」という我々にとってのご褒美が待っているのです。
レース時間が短いとか、体重があって機材の硬さをものともしない、或いは硬い機材に慣れた体なら問題ないでしょう。
ですが、ヘロヘロで疲れ切った体でも、容赦なくアタックがかかれば付いていくためにトルクをかけたい時があります。
そんな時、硬すぎる機材は牙をむきます。
上述の通り、機材が硬すぎる影響でふくらはぎの攣りを何度か起こしています。
別の大会では、それが原因で落とした大会もあります。
精神的にきついですよ、獲れたはずの大会を落としてしまうのは…。
どうしても脚の負担を減らしたいのであれば『走りに悪影響を及ぼさない範囲で意図的に剛性を落とす』という方法があります。
【剛性は調整できる】
上述しましたが、剛性の高さに慣れるのも一つの方法です。
私は一時期その考えでトレーニングに励んでいました。
ただ、よほどのモチベーションと忍耐力が無ければ、途中で挫折する事請け合いです。
私の場合、昔は高剛性機材でもなんとか乗り切れましたが、路面が荒かったり、ずっと負荷が脚にかかり続けるコースを走る時は地獄でした…。
ではどうするか?
これに対する私なりの答えがこちら。
走りに悪影響を及ぼさない範囲で、意図的に剛性を落とす
これですね^^
要するに、どこかに「逃がし」を設けておくという考え方です。
使う機材の中で、敢えて撓みやすい箇所を設定し、脚への負担を減らすという狙いがあります。
なぜこの方法をオススメするのか?
理由は簡単。
大きなパーツは好きなものを使い続けられるから。
これですね^^
これから剛性調整が可能なパーツを紹介しますが、基本的に小さなパーツが主です。
エクストリームな考えを持ってらっしゃる方からすればフレームとホイールも剛性調整パーツの一部です。
それ自体は良いのですが、これを含めてしまうとロードバイク1台で全てを賄っている方の参考にはなりません。
ロードバイクのような嗜好性が強い趣味は、個々人の「好き」が強いモチベーションになります。
可能な限りお財布にダメージを与えず、メンテナンスの範囲内で簡単に剛性調整が出来る、そんなところを目指して考えました。
細部にまで拘りたい方はともかく、フレームやホイールが好きなのであれば良くて、後は臨機応変にパーツを交換しても良いという気持ちで付き合う方が上手くいきやすいです。
私は前者のタイプなので、パーツ交換は時折大きな決断と化す事があります^^;
というわけで、そのパーツ達は次回ご紹介します!
【まとめ】
最後に、まとめ行きましょう!
今回のテーマは以下の通り。
【1-1話-前編】バイクの剛性は全体のバランスで決める【機材編】 でした。
そして、本稿の結論は
- 剛性に関する大前提をお伝えしました(理想は硬い方が良い)
- 自分の実力に見合う剛性かが鍵、必要に応じて剛性を落とす事も考えよう
これですね^^
次回は「中編」に入っていきます。
実施兄、剛性調整が容易に出来るパーツ群を集めましたので、ぜひ参考にして頂けると嬉しいです!
以上、参考になると嬉しいです^^
それでは今日も、ありがとうございました!