こんにちは、コウです^^
それでは今日も元気よくやっていきましょう!
本日のテーマはこちら。
【ENVE】ディスクロードに”チューブラー”という選択【創作ホイール】
こういうテーマでやっていこうと思います^^
リムブレーキでもこんなに書かなかったホイール記事。
いかにディスクロードにドブ漬けな生活を送っているかが垣間見えますね(笑)
さて今回主役となるホイールメーカーは、ENVEです。

泣く子も黙る、鬼が裸足で逃げ出すかもしれない、カヴェンディッシュがツール最多記録を更新されるかもと恐れる、令和の怪童「タディ・ポガチャル」。
彼を擁するUAEチームエミレーツXRGをサポートするのが、アメリカメーカーの中でも歴史が長いENVEです。
ホイールだけでなく、ハンドル、ステム、フレームに留まらず、コラボですがサドルやタイヤなどもリリースする、超高級メーカー。
そんなENVEのホイールを入手しました。
・・・と言っても、最新のENVEホイールは高くて買えません。
なので例のごとく中古から引っ張ってきました。

といっても、新たに買ったというか、ずっと持っていたと言いますか。
VENGEを買った時とほぼ同時期からありましたし、上の写真はまさにENVEで走っています。

実はピストバイクの前輪として使っていたのも、このENVEホイールです。
とある理由から、ずっとロードでの使用を控えていました。
そこから一転、このホイールを今季使っていくことにしました。
そしてそのために必要なパーツが揃い、組みあがったのでご紹介します。
誰が見ても
普通のENVEホイールじゃない・・・
と分かる工夫を凝らしました。
それが吉と出るか凶と出るか?
ぜひ参考にしてみて下さい^^
・・・いや、しちゃいかんしちゃいかん。
【ディスクブレーキにチューブラー・・・?】

私からすれば特に珍しい選択肢ではないのですが、レース用と言えばやっぱり候補に挙がるのが「チューブラータイヤ」です。
レースに本格参加し始めた頃から憧れていた足回りパーツというのもありますが、
- 外周に来る「リム」と「タイヤ」の双方を軽くできる
- 高圧でも乗り心地が良い
- クリンチャーとは一味違う装着の手間と、その儀式がもたらす「特別感」を味わえる
などなど、単なるレース機材としてアドバンテージがあるという側面だけでなく、所有する上でも「他のホイールとは違う」という特別な悦びを得ることができます。
しかし、最近では
- 組み合わせるチューブ次第では、クリンチャータイヤの方が転がる
- それを上回る転がり抵抗の小ささと、乗り心地の良さをもたらす「チューブレスタイヤ」の技術的進歩
により、チューブラータイヤおよびチューブラーホイールの選択肢は極端に減りました。
タイヤに関しては、新品であってもコンチネンタル、ビットリア、ミシュランがまだ出してくれていますし、TUFO、パナレーサー、ピレリもラインナップこそ少ないですが購入可能です。
問題はホイール。
今新品で買える完組チューブラーホイールって、それこそシマノ「WH-R92xx-TU」シリーズくらい。
あとはグロータックEQUALや、ライトバイシクルなどの中国メーカーにお願いして、24H以上のリムブレーキ用チューブラーリムをディスクブレーキ用ハブで手組するくらいしか選択肢はありません。
地味に厳しいのが、リムセメントやリムテープを豊富に店頭に並べるショップが減っているという現実です。
チューブラータイヤは「貼り付ける」作業が必要ですが、その接着には一般的に、リムセメントかリムテープを用います。
建材用両面テープや、コニシのウルトラ多用途SUなどでも代用は可能ですが、長期使用による性能劣化や、劣化後の接着面がどうなっているのかが分からないため、古典的ながらも塗り足せばいいだけの「リムセメント」を私は愛用しています。
そんなリムセメントですが、今ではパナレーサーくらいしか大容量の缶で売っているのを見た事がありません。
さらに中国新興メーカーの台頭により、チューブラーがこれまで絶対的に優位に立てていた「物理的な軽さ」というアドバンテージすら奪われてしまっています。

かつて所有していたNEPEST NOVA45。
ごついTLRリムでありながらカーボンスポークのおかげもあり、実測で1200g前半という、フルクラムSPEED40T並みの軽さを実現していました。
今はこれでも「そんなに軽くない」と評されるほど、さらに軽いホイールが出てきています。
加えて、最近では空気抵抗にも注目したタイヤが出てきたわけです。
ただ、この発想自体は最近新たに登場したわけではありません。

今から10年以上前、マビックがチューブラーホイールで「CX01ブレード」という、リムとタイヤの段差を埋めるための後付けパーツを一緒にしたホイールを出していました。
リム幅27~28mmと、当時としてはとんでもないワイドリムなんですが、タイヤ接着面とリムサイドの間には、ブレードを付けるためのフラットな段差が設けられているため、実はタイヤサイズ自体は23Cに最適化されているホイールです。
当時はまだプロの世界でも23Cが主流だった時代。
今回ご紹介する魔改造ENVEとは、開発背景が少し違うということは知っておいた方が良いでしょう。
間違っても
リム幅28mmもある!これならチューブラーホイールでもワイドリムの安定性を享受できる!
と、安易にコスミックCXRに飛びつかないようにしましょう。
実際のところ、このブレードはUCIレースでは使用不可ですし。
少し違った角度から、チューブラーシステムを見ていきましょう。
これはリムブレーキバイクだけの話になりますが、リムブレーキは文字通り、リムをブレーキシューで挟むことで制動力を得るためのシステムです。

これにより、リムは摩擦によって発熱します。
この熱が重要でして、リムセメントを使用した場合、摩擦熱によりセメントが少し軟化し、少し固まった状態よりも接着力をより強固に出来るというメリットがあります。
軟化すると言っても、たかが数秒~10秒もいかない程度の制動時間ではべちゃべちゃにはなりません。
リムセメントは完全硬化よりも少し柔らかい状態が、接着力を最大限発揮できる状態になります。
なので、リムブレーキのチューブラーホイールは、ブレーキを掛ける度に、リムセメントが熱の影響を受け、接着力を自然に高めてくれるというおまけがついてきます。
冬場なんかは結構重宝すると思います。
ただし、これはディスクブレーキではまずできないことです。
なので、ディスクブレーキでチューブラータイヤを貼る場合、ベッド作りの丁寧さやふんどしへのセメント塗布などの作業はとても重要になります。
まあしかし、実際のところチューブラーシステムはどんどん減ってきています。
それでも私が今回、チューブラーで新たなホイールを組みたいと思った理由は、ただ一つ。
タイヤ構造において、チューブラータイヤはチューブレスタイヤなどよりも優れていると感じているからです。
これについては後述します。
申し遅れましたが、今回手に入れたENVEホイールは、チューブラーリムです。
【選ばれたのは、ENVE SES5.6】

今回入手したのは、SES 5.6。
SES4.5を置き換える存在として登場したのですが、リムハイトのせいでリム重量ががっつり増えてしまった文鎮ホイールです。
やっぱりリムのハイトと重量の比率で行くと、チューブラーが一番良いんですよね。
路面状況が良いコースなら空気圧をガンガン高くしたくなるのですが、クリンチャーリムだとリムが大爆発を起こさないよう上限が決まっているのでそれができません。
チューブラーリムならタイヤの最大空気圧の範囲内でグリップを確保しつつ転がり抵抗を下げられるので、私の用途的にやはりチューブラーホイールは必須という結論になりました。

SES5.6のリムプロファイルはこんな感じ。
2026年からUCIの規定で、リムハイトが最大65mmまでになりますが、余裕でクリアできますね。
UCIレース出ませんけど。
チューブラーリムが到達できるマックスまで幅を広げたエアロリム。
それでいてブレーキトラック無し、クリンチャー用のフック無しの恩恵をダブルで受け、この見た目で400g前半という軽さを実現しています。
ENVEのリムは頑丈さが特筆もので、それ故にしっかりしています。
スプリンター的にはリムがしっかりしているホイールの方が嬉しいのです。
【やるなら、オリジナリティを加える】
SES5.6はリムは軽く硬いのですが、オリジナルのENVE「アロイハブ」で組まれた完成状態では、なんとも頼りない剛性感のホイールに仕上がっています。

前後で370g以上と、デュラハブ並みの重量を持っています。
吊るし状態(完成状態)ではスポークは全CX-RAYなので、スポークは軽いです。
でもハブが重いことから、前後重量も結構重いです。


前後で1447gです。
WH-R9170-C60-TUと良い勝負ができます。
で、ここで個人的に気に入らないのが、前後輪共に左右1:1の2クロス組になっている点です。
ディスクブレーキ用ホイールとしてはオーソドックスな組み方ではあるのですが、スポークテンションの左右差が思いっきり付いてしまう組み方です。
左右でスポークテンションに差があると、ダンシング時のハンドルの振りやすさ、バイクの傾けやすさが僅かに違います。
リムロードに慣れた身からすると、ハンドルが左右均等に振りやすくないと違和感があります。
なので、これまでROVAL CL50、YOELEO C60、NEPEST NOVAを使ってきましたが「前輪も2:1で組んだホイール」の方が私にとって好感触であると分かってきました。
要するにYOELEOはあまり合っていませんでした。
一方で、基本的にディスクロード用の手組ハブは左右同じ組み方になるよう設計されています。
また2:1組自体が正しくハブ設計しないと、スポークテンションの上限が反フリー側に左右される=駆動を司るフリー側のスポークテンションを上げられないなど、難しい組み方になります。
手組用ハブで2:1があったとしても、そのハブが2:1を上手く使いこなした設計かまで含めて考えると、そうそう手を出せる組み方ではありません。
じゃあどうするか?
既に市場に出回っている完組ホイールの中から、上手に設計されたハブを流用してしまえば良いのです。
つまり早い話が、過去に行った「ROVALリム x フルクラムハブ」の再来です(笑)
ということで、ハブを組み替えることにしました。
【選ばれたのは、またもフルクラムだが・・・】

またしても、フルクラムからハブを拝借しました。
またしても、というのは言葉通りの意味で、先ほど書いた通り、過去に私はリムブレーキ用のROVAL RAPIDE CLX50のハブをフルクラムハブに組み替えています。
ROVAL CLX50とレーシングスピードXLRの、異色のコラボレーションです(笑)
当時のレーシングスピードの中でも50mmハイトの方は、等間隔2:1で21本という貴重なハブです。
35mmはなぜか、G3配列に近い2:1になっています。
シマノのオプトバルでも良かったんですが、駆動剛性は2:1の鬼であるカンパ/フルクラムの方が優れています。

で、このハブですが、当然ながら単品販売されているものではありません。
RACING 600 DBというホイールを仕入れ、そこからハブだけ抜き取ったのです。
RACING 600 DBは通常ラインナップには存在しないモデルでして、このホイールが何かを説明するにはまず通常ラインナップの遍歴を知る必要があります。
フルクラムのディスクブレーキ用アルミホイールには、トップにRACING ZEROシリーズがいて、次いでミドルグレードとしてRACING 3 DBがあります。
その下を担うのが「RACING 4/5/6 DB」でありますな。
今でこそ全ホイールがストレートプルスポークで、ZEROと3を除いてハブ設計もカーボンホイール群と同じ「24Hの2:1」で統一されていますが、それは2021年のモデルチェンジ後の話でして。
モデルチェンジ前のRACING 6 DBは、Jベンドスポークで2:1をやっていました。
そしてRACING 6 DBをベースに完成車向けのOEMモデルとして作られたのが、RACING 600 DBというホイールなのです。
元はコルナゴ V3などについていたホイールだった記憶があります。
さて、先ほどこのホイールは2021年にモデルチェンジした、と書きました。

2021年モデルになって、全モデルがWINDシリーズやSPEEDシリーズに近い形状のハブに統一されています。
しかもストレートプルスポークなので、スポークテンションや首飛びにも強いはずだから、本来ならこちらを採用した方が良さそうに思えますよね。
ではなぜ、わざわざ昔のハブを探してきたのか?
そこにはちゃんと理由があります。

所有していないホイールなので、拾い物画像ばかりですみません^^;
これは新しくなったRACING 4/5/6の後輪ハブです。
フリー側のフランジ直径が見るからに小さいです。
2:1組をする上で、フリー側のフランジ直径が大きいというのは大きな意味を持ちますが、わざわざそれを小さくしています。
それともう一つ。
反フリー側がラジアル組ではなくなっています。
2:1で反フリー側をクロスさせると、スポークテンション差がもっと酷くなるはずなんですが・・・ディスクブレーキの力に対抗するための方針転換か?
理由はどうであれ流石にこのハブは良くないため、没としました。
【ENVE SES5.6 TU x フルクラムハブ、異色のコラボホイールをインプレッション】

ということで、組めました。
走る個人情報の爆誕です。

前輪も後輪も2:1です。
前輪は左右ともクロス組です。
2:1をJベンドスポークでやるという強行ですが、DT SWISS曰く「Jベンドもストレートプルも、引張強度は同じになるよう設計している」と言っています。
本来推奨されないパーツ選定ですが、メーカー側が大丈夫だというなら大丈夫なんでしょう。

刻印が P と書かれています。
Pillar社やんけ、大丈夫か。

後輪はもっと過激です。
反フリー側ラジアル組なので、スポークテンションがダイレクトにかかります。
でもこれでスポークテンションの左右差はほぼゼロです。

後輪のスポークは編んでもらっています。
Jベンドなら編んでもらった方が少し安心できます。
もちろん前輪も、編んでもらっています。

このハブ・・・というかフルクラムハブの少し過剰なポイントを書いておきます。
ディスクローターからハブフランジまでの距離が開きすぎなんです。
ブレーキキャリパーとの干渉を避けるためだと思うのですが、どんだけごついブレーキ使う想定やねん。

こちらはNOVA45の後輪ハブですが、反フリー側のスポークがローターのほぼ隣から出ています。
前後輪ともこんな設計です。
おちょこがあるハブなので、出来ればもっとフランジを外へ張り出してほしいのですが、そうできなかった理由があるのかもしれません。

へへへ、こんなこと普通の頭をしていたらやろうなんて思いもしないでしょう。
首飛びが起きたらそれはそれでネタになるので、また記事にします。
使用したスポークを掲載します。
- 前輪:Pillar WING21
- 後輪:Pillar WING21 (DS)/ NDS CX-SPRINT(DS)
ちなみにこれで実測重量が軽くなっていると嬉しかったんですが、
- 前輪:684g
- 後輪:813g
で、計1497gでした。
増えとるやんけ。
元がCX-RAYだったところからスポークで23g増えていますので、ハブ自体も25gほど重い計算です。
リムハイト60mm前後のチューブラーリムで1500g弱・・・最近のTLRリムより重いですけど、削れるポイントはハブくらいしかありません。
それでは、SES5.6のインプレッションに行きましょう!
例によって、私のスペックを書いておきます。
169cm/67kg、FTP260W、5sパワー1360W、最近300~350Wで2~3分走をこなすことが多いですね。
タイヤは

ピレリ P ZERO RACE SL TUB 26Cです。
前後7.1barで設定しています。
最近は28Cのクリンチャーを5.7~6.0barで運用していましたから、なんと高い数値な事か・・・。
しかし、数値はあくまで数値。
その空気圧にして初めてタイヤが体重に対ししっかり仕事をしてくれる以外に、意味はありません。
漕ぎだし、低速加速は見た目相応よりちょい軽め
こんなホイールに期待する分野ではないですが、見た目通り発進はどっしりしています。
ペダル越しに、少し重量感が伝わってきます。
ここははっきりとマイナスなポイント。
しかしひとたびスピードに乗ると、どっしり感が急に影を潜め、軽快なリズムでペダルが回り始めます。
ひゅんっとペダルが下に落ちていくので、変速を早めていかないとケイデンスが上がり切ってしまいます。
速度にさえ乗せられれば、軽快なペダリングができますな。
前輪の運動性能の高さが凄まじい

いきなり結論に近いことを書いてしまいます。
このホイールのトピックスは、前輪にあるかもしれません。
シッティングだとなかなか気づきにくいのですが、前輪に荷重がかかるダンシングをしてみて、いつもと違う変化がありました。
速度が乗ったところからダンシングで加速させ続けていくうちに、気づいたんです。
ダンシングで右→左→右→左→・・・と振っていく動きそのものが、前へ進もうとする推進力に幾分か変わっている感覚があります。
前輪が邪魔をしてこないと言いますか、受けた力をそのまま前に向かうための力に変換されていくイメージ。
これには驚きました。
奇妙なほどに、前へ進むことに抵抗を感じないのです。
NOVA45をもう手放してしまったので直接比較できないですが、NOVA45はダンシングすると、若干ですが地面にフォークがめり込んでいきそうな感触がありました。
実際はめり込むのではなくタイヤが潰れて変形しているだけだと思うんですが、ラジアル組のホイールの中にもたまにそんなホイールがあります。

コスミックカーボンアルチメイトのように、いたずらに硬いホイールというわけでもありません。
なんなら剛性感だけならコスアルの方が高いはずですが、コスアルでは特にそんな印象は受けませんでした。
そして走り込んでいくうちに、ある事実に気づきました。
先ほど書いた
しかしひとたびスピードに乗ると、どっしり感が急に影を潜め、軽快なリズムでペダルが回り始めます。
という現象は、実は前輪がスムーズに進み始める瞬間とタイミングが重なっているのです。
この発見には本当に驚かされました。
自転車を進ませる上で大事なのは、前後輪のうちずっと「後輪」だと思っていましたから。
ですが、実際は前輪の作り込み度合いが、乗り味に多分な影響を与えているのです。

実は前後輪揃えて走らせたのは、今年に入ってからです。
というのも、ホイール自体はクリスマスくらいに来ていたのですが、前輪はディスクローターの位置が内側に入り込みすぎて調整の範囲を越えてしまったため、シムを入手できるまでの間は別のホイールを前輪に履かせていたんです。
で、そのホイールではこのような感触は無かったのです。
つまり、この「前輪が前へ進んでいく感覚」は、このホイール特有の特徴であると言えるでしょう。

ローターとハブの間に見えるシルバーのスペーサーもどきが、シムです。
0.1mmを9枚も入れています(笑)
なんでこんなことになったのかは・・・また別の記事で。
乗り心地が良すぎる

P ZERO RACE SL TUBの空気圧は、6~10barの間とされています。
7.1barというと、まだ中央値にも届かない下の方ではあります。
近年の内幅23mmや25mmのTLRホイールに慣れた方からすると
空気圧高すぎて草w 10年前かよ
と思われる方もいるかもしれません。
実際、最近のワイドタイヤの流れが受け入れられるようになった理由の一つに「空気圧低下による乗り心地の向上」があります。
確かに、空気圧自体が下がれば、微振動や突き上げが減って、乗り心地は良くなりそうですね。
ですが不思議なことに、
- NOVA45、コルサプロスピード28C + ラテックス 5.6bar
- NOVA45、パーサー28C + TPU 5.1bar(下限)
- LBチューブラー28H、P ZERO RACE SL TUB 26C(このタイヤ) 6.8bar
などの組み合わせの中で、今回の組み合わせが最もシルキーな乗り心地だったんです。
7bar以上も入れており、タイヤ自体は確実につぶれにくいはずなんですが、この体感は理論とは矛盾します。
これに関してはパーツ選定というよりも、組み上げ方、つまり「ビルダーの熟練度」が響いていると考えています。
このホイールを組み上げてもらう際、何度も馴染みだしを行ったうえで、スポークテンションが揃うまで調整を重ねてもらっています。
ホイールを組まれたことがある方なら分かると思いますが、ホイールは組み上げたらそれで終わりではなく、「馴染みだし」という作業があります。
組んだ後にホイールに荷重を掛けてあげることで、リム、ニップル、スポーク、ハブ同士の位置が最適化されていき、スポークテンションがばらつく、という形でフィードバックが返ってきます。
これを何回やるかはビルダーさんの方針次第だと思いますが、今回お願いしたビルダーさんは、何度も何度もこれを繰り返し、スポークテンションが変わらなくなるまで行ったという事です。
組み上げよりも馴染みだしに何日もかかるようですが、最終的に荷重がかかってもスポークテンションがばらつかない、リムが360度均等に張られた状態のホイールに仕上がります。
この地道な作業の繰り返しによって得られるメリットはとても大きいです。
- 長期間使用してもニップルが緩みにくい
- ホイール全体がバネとしてしっかり働く
文字で書くと、当たり前だし味気なく見えますが、実は二番目がスポークを使ったホイールの最も難しいポイントです。

スポークを使ったホイールは、当然ながらニップルを回してスポーク1本1本のテンションを微調整することで、縦振れも横振れもなく、センター出しもできたホイールに仕上がります。
そこまで手を掛けられたホイールがそもそもそんなに出回っているとは思えませんが、
全部のスポークがきっちり均等なスポークテンションで組まれ、与えられた働きを全うしているのか?
というところまで思慮を延ばすと、ある事実が見えてきます。
それは、振れも無くセンターが出ているホイールであっても、実際のところスポークテンションは不均等であるということです。

ご存じの通り、自転車は真下にある地面とタイヤが接地し、転がっていく事で進んでいきますよね。
つまり、いついかなる時でも、接地している間はホイールの真下が「最も荷重・ショックを受けるエリア」になります。
また、ホイールが受けた荷重・ショックはそのエリアだけで吸収するわけではなく、全てのスポークがテンションをホイール全体が小さなバネのように縮むことで、負荷を分散します。
この時、張られたスポークの中にテンションがばらついているスポークが何本か混ざっている場合、そのスポークはバネとして十分働かず、残された他のスポークが負荷を受け持つことになります。
バネとして十分働くスポークだけで負荷を受け持つと、それらスポークには過剰な負荷がかかります。
結果として何が起こるかというと、
- スポークの首が飛びやすい
- 空気圧を下げてもそこそこの突き上げ感を感じる
- スポークテンションが高い割に駆動ロス発生、制動力に耐えれない
といった問題が出ることになります。
厄介なのは、これらは直ちに起きる異常というわけではありませんし、実際乗っている時は様々な外的要因の影響もあり、ホイールの影響だけに注視できる状況はそう多くありません。
実際のところ、長い時間使い込めば、どんなホイールもスポークテンションがばらつき、大なり小なり振れも出てくるものです。
そこに辿り着くまでの間に、いかに美味しく使える期間を伸ばしてあげられるかが、ビルダーの腕の見せ所の一つと言ってもいいかもしれません。
そして、このホイールを走らせて気づいたことがもう一つ。
「手間暇かけてきっちりスポークテンションを揃えて組まれたホイール」は、その自転車の乗り心地の良し悪しを決める要因の一つになり得るという事です。
タイヤの空気圧だとか、フレームの快適性だとかだけが、乗り心地を左右するわけではない事がよく分かりました。
今26Cですけど、25Cでも全然良いと思えるくらいです。
いたずらにタイヤを太くする必要はないなと思います。
登坂は流石に苦手
このホイールの明確に向いてないシチュエーションは、長く続く上りですね。
これを語る前に、まず後輪の剛性感について書いておきます。
フリー側がWING21、反フリー側がCX-SPRINTを使っていますが、これはスポークテンションを左右で揃えるためです。
駆動に関わるのは主にフリー側スポークですが、比重4.7gと、CX-RAYよりわずかに重いスポークです。
なので駆動剛性自体はCX-RAYよりかすかに上程度でして、リムハイトの高さも相まって、400Wくらいで踏み込んむと若干しなりを感じる程度の硬さだと思ってください。
さて、多少しなりがあること、ホイールそのものが重めなことが合わさって、上りが続く、言い換えると「淡々とそれなりの強度で踏み続けるシチュエーション」は、あまり得意ではなさそうです。
NOVA45に乗っていた関係もあり、ちょっとトルクをかけただけで即反応しスルッと回るペダリングから一転、上死点から下死点までじわっとずっとトルクをかけていないといけないペダリングに変わったので、軽やかさはありません。
「スチールスポークってこんな感じだったな~」と懐かしい一方で、パワーを出して抜いてできるNOVA45の方が上りは良かったなと、はっきり感じました。
とはいえ、引き摺るような感覚でもないので、もう少しトルクアップすればテンポ良く走らせられるようになると思います。
それがどのくらいの時間持つのか、が未知数ですけどね・・・。
スプリントは未知数

上りで1回しかスプリントしていないので、未知数な部分が多いですが。
その1回だけでも、このホイールが「スプリントしやすいか」だけを判断するには十分な指標になります。
結論から申し上げますと、かなりスプリントに使えそうな雰囲気を感じられました。
まず後輪から。

初動は重いです。
ここでいう「重さ」というのは、重量起因ではなく、スポーク側による「しなり」が主です。
400W程度で若干のしなりを感じる程度の剛性感なので、スプリントでも当然しなります。
でもそこまでハイパワーをかけたらへなちょこなんじゃ?と思いきや、あるところでグッと堪えてくれます。
その堪えてくれる領域が、500~600Wくらいのところにあると感じます。
なので、踏み込み始めてからしばらくはスポークのしなりのために力が使われている感じはあるものの、下死点に入る頃になるとスッとペダルが軽くなって抜けていきます。
この抜け感が、次の踏み込みに切り替えるための良い塩梅のリズムとして機能してくれます。
脚が削られるほど硬くもないので、踏み始めた力を保ったまま踏み続けることができます。
この「下死点で抜ける感覚」は、かつてのカンパニョーロホイールに近しい感触です。
最も使い込んだホイールである、カンパの「ゾンダC15」が最も近いです。
ゾンダほど重くないし、空力性能は遥かに上を行くので、このホイールは純粋にゾンダの上位互換であり、ゾンダに近い官能性を持っています。
次に前輪。

先の章で、「前へ進んでいく感覚」があると書きました。
この現象は、高速域になればなるほど顕著になります。
バイクの振りを、前輪が全く邪魔してこないのです。
よれてはいないですが、板みたいにガッチガチに硬いわけでもない、不思議な感触です。
ただひたすらに、後輪からはじき出される加速力をそのまま前へ受け流してくれるので、綺麗にスーッと伸びる感触を味わえます。
で、まだ平地でスプリントしていないのです。
ここに平地スプリントの感想を書く
ディープリムといえば前後同じ高さか、ENVEなどのように前が若干低いのが当たり前でした。
唯一完組で、ROVALがCLX3とCLX SPRINTで高さを入れ替えてきました。
あのホイールはバイクを振ったりした時の前後バランスが今までのホイールと狂わないようにほんと数ミリしか差が付けられていないですけど、SESのように10mm近くも変わってくるなら、私は前が低い方がまだ利があると考えます。
ブレーキングは大丈夫なのか?
前章までは主に「ホイールを回転させること」にフォーカスして書いてきました。
この章では「ブレーキング」、ホイールを止めることについて書きます。

この1枚の画像を見て、こんなことを考えた方もいるのではないでしょうか?
Jベンドで、しかもブレーキ側が少スポークって、大丈夫なのか?
これに関しての私の見解としては、
分かりません
と、現時点では答えざるを得ません。
なぜなら、こちらは後輪側。
あまり強く制動力が掛かる方ではないから、この本数と一般的なJベンドスポークでも問題ないと、フルクラムも考えたのでしょう。
・・・と、考えておくしかないです。

一方で前輪側はどうでしょうか。
下り坂のカーブ途中に急に出てきた赤信号のおかげで(?)、フルブレーキングを試すことができました。
細身のスポークが使われているものの、特にスポークから異音が鳴るなどの不具合は出ませんでした。
その後も平坦で急制動を試してみたものの、これまでのホイールと何か違うところは見受けられません。
現時点では、Jベンドスポークであっても特に問題が出そうな気配はないという感じです。
まあ本数の違いはあれど、シマノM9200ホイールのように、MTBでもJベンドスポークを使っているモデルはあります。
Jベンド=ディスクブレーキに弱い、というのは考えなくて大丈夫でしょう。
EQUALホイールも、スポークにはJベンド入れていますし。
【まとめ】
最後に、まとめ行きましょう!
今回のテーマは以下の通り。
【ENVE】ディスクロードに”チューブラー”という選択【創作ホイール】 でした。
そして、本稿の結論は
極低速からの加速が無ければ、かなり良いレースホイール
これですね^^
ということは、割とシマノ鈴鹿のような流れがずっとあるレースでは、このホイールはかなり当たりかもしれないということです。
逆に、AACAのようなクリテリウムレースでは、あまり向きません。
そりゃ、リア63ミリもあるスーパーディープを転がすんだから当たり前です。
これを活かすには、相当加速の切れが良いフレームである必要があります。
ある意味コルナゴV5RsトENVEホイールって、相性ばっちりなんじゃないかとさえ最近は思います。
以上、参考になると嬉しいです^^
それでは今日も、ありがとうございました!
