こんにちは、コウです^^
それでは今日も元気よくやっていきましょう!
本日のテーマはこちら。
【検証シリーズ前編】7年ぶりにクランクを170mmから変えた話【ショートクランク】
こういうテーマでやっていこうと思います^^
今回のお話は、最近話題沸騰中の「クランク長」に関する検証です。
なんか昔もクランク長に関する話題が出てきたような・・・。
検証と言っても単に「短いクランクに変えてみた」ってだけなんですが、それでは面白くないので、スプリンター目線で検証をしてみます。
タイトルの通り、私はこれまで長い間170mmクランクを使ってきました。
理由は、他の長さと比べた結果、当時の結論として「170mmに対し特に不満が無かったから」です。
完成車を見ても、170cm前後の方が乗るサイズ、例えばXS、S、はたまた48~52サイズはだいたい170mmのクランクが付けられています。
去年の秋、しれっとシマノBBに使用可能な超軽量カーボンクランク「ELILEE X320」を導入しました。
8月のシマノ鈴鹿ロードレースを終えて間もない頃だったため、クランク長にはかなり敏感になっており、いけると踏んで170mmのこれを買ったのです。
その時のお話はこちらからどうぞ。
長年使ってきた長さなので違和感らしい違和感はないのですが、昔は165mmでシマノ鈴鹿ロードレースを走っていた時もありました。
ただここにきて思うところがあり、一周回ってまたショート化を試みる運びになりました。
今回何を思ってショートクランクを試す気になったのか?
スプリンター目線で、長さが変わるとどんな変化があるのか?
その辺りに主眼を置いて検証していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
【クランク長は色々と変えてきた】
まず、私の体格を書いておきます。
これを書いておかないと、目安もへったくれもありませんからね。
- 身長169.5cm
- 股下79cm
身長に対する股下の平均値から見ると、股下長自体は長めに分類されるようです。
今でこそ170mmが私の相棒となっていますが、実はここに辿り着くまでに色んな紆余曲折を経ています。
一番最初に使っていたクランクは、サンツアーのトリプルクランク!
初めてのロードバイクをバラ完で組み上げた時、クロスバイクからほぼすべてのパーツを移植したのですが、これが「170mm」でした。
私の起源はここにあります。
次に買ったのが、シマノFC-6600。
10速時代のアルテグラのクランクで、これも170mmでした。
次がFC-5600で、こいつは175mmだったんですよ。
なんでこれ買ったかというと、長くしててこの原理でトルクを補いたいと思ったから。
当時は
速く走る=強い力でペダルを速く回す
と思っていたのですが、強い力をかけるにはそれなりに筋肉が強くないといけません。
でもこの考えに至った当時はまだ乗り始めて2年目くらいでして、ろくに身体が出来ていなかったのも事実。
そこで機材に頼ろうとした時に手を出したのが、クランク長を長くする方法でした。
ところが、長すぎて脚が全く回らず、ほとんどトルク頼みのペダリングになってしまって逆に凄く疲れやすくなり、結局1ヶ月くらいで170mmに戻しちゃいました。
そこからしばらく170mmを使って、ロードバイク歴4年目くらいの時に手を出したのがFC-6700の165mm。
クランクを短くして回転を稼ごうっていう発想で買ってみたのですが、これもまだ短いクランクへの理解が未熟だったからか、うまく使いこなせませんでした。
具体的には、平地はハマると結構速く走れるようになるのですが、上りが辛かった記憶があります。
当時はクランクが52-39T、スプロケが11-23Tとか普通に使っていて、それでヒルクライムに挑んでいたので、そもそも重いギアを常用していたんですよ。
若気の至りって言うんですかね、こういうのを(笑)
そこにてこの原理からいくと負荷が増える短めのクランク長を選択していたわけで、はっきり言って二重苦です。
だけど、クランクを短くすれば脚の可動域に余裕が生まれるというメリットをこの時に見出したのは収穫でした。
その後、6700より高剛性で見た目もかなりそそられるROTOR「3D24 AERO」の170mmを買い、165mmと交互に使い続けてきました。
最終的に手元に残したのは、使い慣れた170mmの方でした。
11速コンポに乗せ換えた時にこれらも売ってしまい、また170mmに戻ってきました。
今思えばROTORは売らない方が良かったかもしれないと思っています。
結局トータルで10年以上は、170mmクランクを使っていたことになります。
そして去年、シマノ鈴鹿ロードレースの前に久しぶりにクランク長を変えてみた、という流れですね。
なんだかんだでクランクもかなりの数使ってきています(笑)
ただ、クランク長ってポジショニングの根幹と言いますか、KOPSだったり、サドル高さ/前後位置だったり、ハンドル高さ/リーチなどの基点になる、非常に重要なパーツです。
おそらく皆さんの関心事としては
なぜ突然大一番のレースの前に、これまで築き上げてきたポジションの根幹を変えるという「暴挙」に出たのか?
ではないでしょうか。
実は当時、シマノ鈴鹿の3週間前のキナンAACAで、165mmクランクをテストしていたのです。
上のS5の写真がそうですね。
その時のレース結果はこちらから。
その時の軽快なペダリングとスピードの伸びていきやすさといったら、ホイールを変えたりフレームを変えたりした時よりも遥かに大きなアドバンテージを感じたのですよ。
ただ、その後いなべの山岳トレーニングライドで、170mmから165mmに変わったせいか、ポジションが上手くハマらなかったせいか、上りで関節に悪い!と感じるほどペダリングが重く感じられました。
でも170mmだと長いと思うってことで、たった2週間だけでしたが167.5mmクランクも試しました。
つまるところ、去年の8月はクランク長でかなりの大迷走をしていたわけです。
最終的に、AACAの脚の回転の良さを信じてシマノ鈴鹿1日目は165mmで行くことにしたのですが、ホームストレートの上りが筋トレになってしまうほど辛かったです。
昔感じたのと同じ感想ですね(笑)
それでも一桁順位まで戻ってこれたので、御の字です。
ただ、初めて165mmを試した何年も前と去年とでは、色々変わっています。
バイクは違う、クリート位置も変わっている、柔軟性も違う、走らせ方も違う、フォームに関する知識量もまるで別物。
何もかもが違っているんです。
それなのに、昔比較した頃の感覚だけで「クランクを短くすると云々」を語る・・・など、できるわけがありません。
そこで今は、昔のポジションに戻しつつ、持てる知識と身体の動かし方を総動員し、ショート化したクランクとどう向き合うとうまく付き合えるかを実験しています。
そんな検証シリーズとなっております。
一応これまでの経験をベースに、ショートクランク化したらどんな変化が起きるのかを分かっている範囲でまとめます。
- 下ハンポジション時の前傾が少し楽になる
- 上死点で膝がぶれにくくなる上に、上死点で詰まる感覚が薄まる
- 可動域が狭くなる分、特定の筋肉に負荷が集中しやすくなる
- 脚が回しやすい分ケイデンスでスピードを補えるため、筋肉に疲労が溜まりにくい
- ギア比そのままだと、上りでトルク不足に陥りやすくなる(使用ギアの歯数を変えない場合)
- 一発踏み込む瞬間だけを切り取ると、もっと多くのトルクが必要になる
こんな感じになります。
これら感じた事象の中には、人体構造的に有利な方向に変化が出ていること、ショートクランクを使用した際に起きる物理現象がはっきり表れています。
それを受け入れ、ショートクランクとどう付き合っていくのが良いかを考えてみます。
クランク長が短いと必要なトルクが増える は正しいのか?
これについては海外の研究を読んでいると既に一般解のようなものが出ていますが、私としては「条件を固定して考えれば正しい」と考えます。
とある文献を読んだ際に気づかされたのですが、例えばクランク長が170から165に変わったとします。
差は5mmですが、割合にするとざっくり3%です。
ここで一緒に考えないといけないのは「ギアの歯数」です。
私は普段52-36T、11-28Tのギアを使っています。
例えば平地をアウター52-17の、約3倍のギア比固定で走る状況を想定します。
ここで170mmクランクで約3倍の負荷をかけて走っている時のトルク値を基準とした時、クランク長のみ165mmにすると、約3%トルクが上乗せされる形になります。
これを170mmクランクのまま「歯数」を変えて3%のトルク増を表現すると、アウターギアが53.56Tに増えるのと同じ負荷がかかるということです。
実際にはそんな歯数は存在しないので54Tが近似値になりましょうか。
ということは、クランク長を変えるということは、ギア比を変えるに等しいことになります。
クランク長を変える前後で、同じトルク感覚でペダリングしようと思ったら「ギア比を、クランクが短くなった割合分だけ軽くする方向に持っていかないといけないよ」ということです。
たった3%、と高をくくっていた当時の私はあえなく165mmの恩恵を受けきれず、増えたトルクをそのまま筋力でカバーしようとして撃沈したのです。
クランクを短くしたら疲れるようになった
同じギアが重く感じるようになった
というのは、実はこういったことが起きているからなんですね。
クランク長の長短をそのまま「てこの原理」と例えられる所以でもあるかと。
でも、クランク長ってのは、自転車を進ませるためのギアレシオの一部でしかないのです。
自転車が出せる速度は、クランクギアとスプロケットギアをどこにかけるか、だけでは決まりません。
タイヤが23C、25C、26C、28Cでも変わってきます。
なぜならクランク一回転当たりで進む距離が変わるため、ここにも数%とはいえゲインが乗ってきます。
私が25Cタイヤを使い始めたのはまだここ2年ほどの話なんですが、それまでは23Cタイヤにずっと拘っていました。
理由は、タイヤ周長の差によるペダリングの重さが嫌だったのもあります。
では、そのクランクを回す脚の回転数、もっと言うと「脚の動き」を司るのは・・・?
これはクランク長しかありません。
サドルの高さや前後位置、クリート位置が大要素ではありません。
すなわちロードバイクには、クランクとスプロケットに加え、あなたの脚と、三つのギアを備えているのです。
【クランク長はクリート位置とセットで考えるべき?】
私のクリート位置は「そのシューズで設定できる最も後ろ寄りの位置」が基本です。
一昔前だと「ミッドフットポジション」なんて呼ばれ方をしていたかもしれません。
なぜその位置にクリートを置くようにしたのか、少しお話させてください。
冒頭において、170mmクランクを使っても特に不満が無かったと書きましたが、これにはある条件があります。
それは「今より一回り若く、より柔軟性に富んでいた」頃のお話であるということ。
クランク長の決め方で良く用いられるのは
- 身長/10
- 大腿骨長ベース(これだけでも3種類ほどある)
- 股下長 x 0.21~0.23
などがありますが、私は昔は1番め「身長/10」でクランク長を決めていました。
というかその考え方が主流だったので、165mmを使うと低身長と思われかねない・・・という謎の見栄の張り合いもありましたね(笑)
ただ、クランク長の違いを確認するために何度かスプリントで比べてみた結果「一番かかりが良かったのが170mmだった」から決めた、のもあります。
脚を高い位置から振り下ろすことで、勢いよくペダリングするスタイルだったわけです。
同じギア比でケイデンスも同じなら出せる速度は変わりませんが、クランクが長い分勢いよくペダルを回す=加速度が速い分、なんとなく165mmより170mmの方がスピードの伸びが良かった感覚があります。
逆に当時165mmを使ってみて感じたのは、勢いよく下死点まで踏み込むのは良いものの、下死点へ到達するのが早すぎて、主にハンドルの振り、ひいてはバイクの振りがコンパクトになり、ペダリングしにくかったと記憶しています。
ところがどっこい、170mmクランクを使う上で明確なデメリットもありました。
それは「上死点を越えている時に脚の付け根が詰まる感覚がはっきりあること」です。
感覚ベースでも、170mmクランクは長いと感じていたわけですね。
下ハンドルを低く構えた「スプリント特化のポジション」を取る私のバイクを例に挙げます。
ハンドルが低いほど、上半身は水平に近づいてきます。
クランクが長いと、その状態で普通に下ハンドルを持ってペダリングするだけでも、股関節が上死点を越えていく時に明確な「詰まっている」感が生まれます。
その詰まりを回避するために、上体を起こす=ハンドルを上げるじゃないですか。
そうすると、下ハンドルが高くなってスプリントし辛い・・・というジレンマに陥るわけです。
昔はそれでも170mmがスプリントしやすいと信じて、詰まりを回避するための方法として、サドルの先端に座ったり、腰を少し上へ傾けて逃がしたりしていたわけです。
一見すると上半身も含めてダイナミックに動けているように見えるんですが、実態としては脚を必要以上に持ち上げないといけないからそう動いているだけでパワーをペダルへ伝えるための動作とは少し違います。
ポジショニングとは少しずれますが、クリート位置を限界まで後方に下げているのも方法の一つです。
そもそもクリート位置を限界まで後方に配置するようになったのは、脚の筋肉の中で最も持久力が無い「ふくらはぎ」を守るための対策です。
なぜふくらはぎがそんなに攣りやすかったのか?
実は私の足において、最もパワーが乗るポイントは踵側ではなく母指球側にあります。
なのでクリート位置も本来はその付近に配置したいところではあるのですが、170mmクランクの場合、角速度の速さも相まって脚関節にとってパワーが一番出しやすい関節角度をすぐに通り越してしまうんです。
そもそも上死点で脚が詰まっている感覚がある時点で、脚を上げきれる限界近くであるか限界を超えてしまっているので、その前後なんてペダルに全くパワーが乗っていません。
そうすると、クランク1回転の中でパワーが乗せられるごく僅かな美味しいレンジ・・・その一瞬を狙ってピンポイントで大きな力をかける動作を強いられます。
結果、最初に悲鳴を上げ始めるのが「ふくらはぎ」なんです。
ふくらはぎって瞬発力はあるんですよね、持久力は無いけど。
サッカー選手なんてふくらはぎめっちゃごっついでしょ、あれって瞬間瞬間のダッシュの繰り返しによるものなんです。
それと似た動きなのか、弱い筋肉であるふくらはぎばかりが使われ、攣ってしまう、ということが多かったです。
なのでどうしたかというと、クリート位置にとって大臀筋、ハムストリングスといった大きな筋群に近い関節「くるぶし」側に近づけ、ふくらはぎの連動を切ることで攣らないようにしたのが、今の私のクリート位置というわけです。
ですが、クランクを短くすれば、上記の問題は薄まる、もしくは完全に解決できる方向に働きます。
もちろん人間がやることなんで、短くしたことによるプラスの面もあればマイナスの面も出てきますが、今後の最重要課題として「上死点での詰まり」が解消できれば、色んなメリットが生まれる可能性を秘めています。
【クランク長を短くしたら起きうるメリット・デメリット】
クランクを短くすると、今起きている問題点、妥協点を解決できる、若しくは解決まで至らなくとも問題のレベルを下げることが可能になるかもしれません。
- 上死点での詰まり感解消
- クランク一周の中でパワーをかけられる範囲が増加
- 使える筋肉群が増え、ふくらはぎのことを気にせずクリート位置を変えられる可能性有り
- 上死点詰まりの解消による巡航時のエアロフォームの改善
- スプリント時のエアロフォームの改善
よく見られるような「ケイデンスの向上」とか、当たり前なことは書きません。
ちなみにあれはケイデンスが魔法のように上がるんじゃなくて、脚の運動量は変わらないから上がったように見えるだけです。
反対に、新たに発生するデメリットは次の通りでしょう。
- ポジション出しを0から再構築する(サドルの位置出しからハンドル落差までやり直し)
- ギア比の見直し
- 脚の回し方、踏み方の癖をクランクに合わせて矯正する
特に懸念すべきは、ギア比がどのくらい変化するかです。
普段使いのギアを11-32Tのような大きなスプロケットに交換する必要があるかもしれません。
ちなみにポジション出しの面白いお話を一つ。
クランクが短くなればサドル高は上がりますよね。
ではハンドル高さは?
普通ならサドルが上がっているから、ハンドルも一緒に上げる、と思うものです。
実際は逆で、上死点での上半身に余裕が増えるから、ハンドルは下がる方向に行くんです。
サドルが上がってハンドルは下がるという、プロっぽい見た目に近づいていくわけですね。
【170mm → 165mmインプレッション】
ベース車両は、S-WORKS TARMAC SL6。
手持ちのMAGENEのPES-P505 165mmに変更してみました。
ELILEEと比較すると300g近い増量です(笑)
今回はテスト中クリート位置は変えていません。
ここを変えると全部狂ってしまうので、統一しています。
何度も「クリート位置を変えたい・・・!」という衝動に駆られましたが、何とか耐え凌ぎました。(えらいぞポチ)
165mmクランクのテストは、トータル2ヶ月、800キロほどの中で行っています。
その中には90キロ1100mアップのヒルライドであったり、30キロ程度の高強度な練習会も含まれています。
では165mmのインプレッションです。
165mmのメリット
まずは平地について。
一番印象に残った変化は、上死点での脚の詰まり感が明らかに減ったこと。
5ミリ差では完全に消えはしませんでしたが、長時間下ハンを握っても違和感が少ない程度には変化しています。
また、脚が上死点を越えてペダルにパワーが乗り始めるタイミングが、170mmより早く来ます。
ペダルにパワーが乗る範囲が広がっているので、ピンポイントでグッと押し込むペダリングをする必要がないです。
クランクの上死点を12時とすると、
- 170mm→2時前後から4時くらいまで
- 165mm→1時前後から5時くらいまで
と、体感的に60度くらいは広がっています。
関節や筋群にとって力が込めやすい範囲にペダルの軌道が入ってきている表れではないかと推測しています。
これの何が良いかというと、普段のペダリングの中で変に力んで、スプリント時に重要なふくらはぎ、大腿四頭筋などの瞬発を司る筋群を使うことがかなり少なくなったのです。
特にふくらはぎは全く疲れませんでしたね。
クランク一回転当たりで入力する力が変わらないなら、パワーバンドが広がっている方が少ない力で済むのでエコですね。
まるで持久力が増えたような錯覚に陥りそうです(笑)
また衝撃的だったのが、クランクを変えてすぐにFTP値が大幅に上がりました。
と言っても元が低くなっていた中からの上昇なので、昔に戻りつつあるだけではありますが、230W(3.3倍)→259W(3.8倍)になりました。
この結果には私が一番驚いています(笑)
今まで4倍弱のパワートレーニングで喘いでいたのに、一気にその閾値を越えそうな勢いです。
これだけなら大したことないですが、ここで注目すべきトピックは、大して疲労を感じず、力を使っている感覚無しにFTP0.5倍アップを達成している点です。
しっかりパワーをかけるという点においては、私の場合170mmより165mmの方が有利だったことが証明されました。
続いてヒルクライムについて。
クランクを短くすると不利に働くと言われるヒルクライムにおいてはどうか?
とあるライドにて、浜名湖の丘陵地帯を抜けるライドをこなしましたが、その際4~6倍くらいのパワーでゴリゴリ上っていくシーンが何度かありました。
その他何度か山へ向かいましたが、総じて言えるのは、ヒルクライムにおいても170mmより力を伝えている区間が長いことです。
400~450Wを1分とか170mmではまず維持できないレベルでしたが、165mmだとギリギリ堪えられます。
この時のポジションの影響もあると思いますが、おそらくハムストリングス、大殿筋と言った大きく持久力のある筋肉群を有効に使えていたものと思われます。
次に、スプリント。
肝心要なところですね。
最も大きな変化は、ダンシングにおいても上死点で脚の付け根の詰まり感が解消されていることです。
ダンシングだとサドルから腰を上げるので、シッティングよりもペダリングがしやすくなるものですけど、それでも腿上げする距離が10mm短くなった恩恵はしっかり感じます。
また、スプリントの持続時間が少し伸びているのも良いポイントです。
その理由として、
- 上死点→下死点に向かって脚を動かす運動量が減少した
- 同じケイデンスでも脚を上下動させるスピードが遅くなった
ことが挙げられると思います。
ケイデンスは「1分間におけるクランク回転数」なので、クランク長が短くなればなるほど脚を動かす距離は短くなります。
170mmクランクだと180度分の周長は 170 * 2 * 3.14 / 2 = 534mm
165mmクランクだと180度分の周長は 165 * 2 * 3.14 / 2 = 518mm
と、同じケイデンスでも170mmから165mmに変わるだけで16mm分脚を動かす距離が短いです。
160mmクランクになるとどうなるかというと、 160 * 2 * 3.14 / 2 = 502mm
170mm比で30mm以上も脚を動かす距離が減ります。
この計算結果は半周分なので、クランク一周だとその差は2倍になります。
脚を動かすためのエネルギーが削減されている分、持続時間が伸びていると考えられますね。
さあどうでしょう?
ここまでだと良いことづくめに見えますね(笑)
でも実際は、良いことだけではありません。
ちゃんと反作用も身体には出ています。
表があれば裏があります。
165mmのデメリット
主としてハムストリングス、大臀筋、外転筋が非常に疲れます。
脚が直径10mm分小さく動くことになるためか、高負荷時に170mmクランク以上に自分にとって使い勝手がよく、大きい筋肉に絞って動かしすぎた可能性があります。
ちょくちょく感じていたのが、足裏の中で「ここに力を入れたい!」というポイントよりも足が前に出ている・・・すなわちクリート位置が後ろにある感覚がありました。
かなりトルクで押すペダリングになっていたため、筋肉へのダメージが大きくなったのもあるかもしれません。
特に平地を走っていて、垂れてきて回転ではなくトルクで押し切ろうとすると、急に脚が回らなくなることもありました。
それでもFTPを更新してるので、正しいクリート位置になったらどうなることやら(笑)
また、少し困ったな・・・と感じたのが、ダンシング時に引き足がしにくくなりました。
私はアタックへの反応やスプリントでダンシングすると、全開で踏むだけでなく、弱めの引き足を意図的に入れることがあります。
狙いとしては、踏み込み側のアシストですね。
イメージとしては、引き上げてくる側の足の甲に少し圧がかかる程度に引き上げます。
このアシストをかけづらいかなと。
バイクによりますが、これでめっちゃ加速力が向上することがありますよ。(S-WORKS TARMAC SL6は超加速します)
私の加速の武器の一つではあるのですが、170mmクランクの時だとやりやすいんですね。
動作のイメージとしては、クランクを自分のお腹に向けて引き寄せる形になるわけですが、これがやりやすいかどうかは、後ろ脚の位置が引き上げやすい場所にあるかどうかの違いではないかと考えます。
立った状態の脚の位置を0基準として、膝真っ直ぐのまま少しずつ片脚をお尻側へ上げていきます。
上げる角度、高さはどの位置でも構いません。
上げた位置から前へ向かって腿上げ、膝蹴りの要領で曲げ伸ばしを繰り返してみてください。
動かしやすい高さがあると思います。
私の場合、これをクランクに落とし込むと170mmが最も動かしやすいようです。
慣れの範囲かどうかは、もうしばらく使ってみなければ分かりません。
ただ、165mmで走った最終日でも、
もう少し脚をダイナミックに動かしたい・・・
と感じることがありました。
ペダリング時の脚の動かし方はクランク長によって決定づけられます。
感覚ベースとはいえ、クランク長が変わるとクリート位置の見直しも必要になってきます。
特に筋肉群にとって大きなアプローチができるのは、クリート位置です。
今回は単純にクランク長だけ変えてテストしているので、クリート位置のベースが「170mmクランク」にあるのは間違いありません。
自分の場合、170mmクランクを使用していた時の「ピンポイントで踏む際におけるふくらはぎの疲労軽減」のためにクリート位置を後ろにしていました。
いけそうであれば、これを少し前へ移動させてみるのも検討してみますかね。
【170mm → 160mmインプレッション】
さてお次は、160mmクランクになります。
未知の領域です(笑)
ベース車両は同じくS-WORKS TARMAC SL6です。
クランクはシマノ「FC-R7100」。
え?後ろの赤いフレームは何だって?
それはまた後日のお楽しみです(笑)
FC-R7100、我々が買える中で最も安い160mmクランクではないでしょうか?
ついでに11速環境に12速クランクをインストールするという互換性無視のバイクが出来上がりました。
クランク長のテストだけなので、これで十分です。
ちなみに普通に変速します。
本当なら刻んで162.5mmを使いたいものですが、シマノ24mmスピンドルで162.5mmクランクってかなり選択肢が狭いです。
- DIXNA ラ・クランク
- ワンバイエス Jクランク
- スギノ OXシリーズ
海外メーカーはどこも作っていないサイズです。
なぜかROTORは165mmから下のサイズが、160mmをすっ飛ばして155mmなんて長さのクランクを用意しています。
今回もクリート位置は変えていません。
それではインプレッションに参りましょう。
160mmのメリット
局所的にしか恩恵を受けませんが、ダンシングスプリントで、膝とお腹に余裕がたっぷりできます。
そのおかげで、ハンドル位置をもっと下げたい、もっと前傾させたい、というポジション上の変化が出てきました。
つまり、モアエアロ!
マーク・カヴェンディッシュ並みの丸い背中でスプリントできそうだなと思ってしまったほどです(笑)
また、スプリントのような全力ダッシュでも、大臀筋とハムの稼働率が高いです。
ひたすら大腿四頭筋は温存に徹することができそうな印象も受けました。
主として、脚の裏側にある大きな筋群で走る形になります。
ローラー台「SARIS H3」にて、インターバル練習ついでにケイデンステストも実施してみました。
ケイデンスは170rpmでマックス220rpmまで行ったことがありますが、160mmクランクで試した日は206rpmでした。
それよりもなかなか凄いと思ったのが、インターバル練習中のこと。
私のお気に入りのトレーニングが「20-40sec全力インターバル」。
20秒全力で回して、40秒休むトレーニング。
これを10本繰り返します。
勘のいい方ならお気づきだと思いますが、タバタトレーニングを自転車向けにアレンジしています。
1セット当たりの時間拡大と、レストとワークの時間を入れ替えています。
まあいつやっても辛いトレーニングなんですけど、だいたい5~6本目くらいから垂れます。
ただ、いつもならその辺で踏めなくなるのですが、このクランクの時だけは8本まできっちりやりきれました。
9本目からは黄金の垂れでダウンしましたが、全開走の時間が延びています。
クランクの上下動だけに絞れば動きがコンパクトになるので、それによって全開走の持久力が向上していると思われます。
・・・と、正直メリットはこのくらいなものです。
私にとって短いクランクは、次に書くデメリットの方が影響が大きかったです。
160mmのデメリット
では、続いて短くしたデメリット。
まず平地でシッティングでチンタラ回してるシーン。
この時は、上死点が全く違和感なく抜けられるし、脚がシュンシュン回ってくれるので、正直言うと
結構面白いかも!?
と思ったのです。
ただ、その状態からシッティングのまま高強度で走りだすと、ずっと負荷が脚に乗ってくる感触が拭えませんでした。
正直165mmの方がまだ回しやすいです。
まあ、これ自体は想定の範囲内です。
それとは違うところで、クランク長が短くなったことによる影響が出てきました。
どんな変化が起きたのかをまとめます。
- シッティング→踏み込みで踵が盛大に下がる
- ダンシング→膝の上死点での位置が低すぎて一部の筋肉しか動いていない、ダイナミックな動きは完全に封じられる
直径で10mm短くなっている影響かと思いますが、170mmで培った「上死点通過時に前へ脚を蹴りだすペダリング」が一切通用しません。
とある方の言葉を借りると、私のペダリングは「台形ペダリング」とも言える回し方なんですけど、160mm、即ち自分にとって短いクランクを使うと、全く別の回し方を要求されます。
160mmクランクは「真下に踏み下ろすペダリング」が必要だと思います。
高さ320mm(160 x 2 = 320)の階段を昇るイメージです。
そして、クリート位置をもっと前に移動させても良いんじゃないか?と強く感じました。
足の位置的には、もっと母指球寄りのクリート位置で大腿四頭筋も適度に使いながらポンポンと踏みたいけど、それよりも後ろでペダルを回しているため、ずっとハムストリングスや大臀筋が酷使される形になっていました。
そういう意味では、160mmクランクは足の中で一番力が乗るポイントを上手く使えるかも?という可能性を秘めています。
まあシッティングはなんとか馴染めるようになったものの、問題はダンシング。
「脚を回転させたい・この高さから踏み下ろしたい」という軌道と、クランク長が全く一致しません。
スプリントに絞ってみると、同じケイデンスでもクランク長が短くなると角速度が遅くなるため、170mmでスプリントしていた頃の脚のスピードに慣れた身では「脚の動きが遅い」と感じます。
これは物理的に仕方がないことなので、慣れるしかないポイントかも知れません。
もちろんインターバルトレーニングで起きた持久力が伸びたような事象も無視はできません。
ただ、そんなにペダルをぶん回すシーンがロードレース1回当たり何度あるんだ?って話でもあります。
【考察 私にとってのクランクの最適長はどこか】
正直、今回のテストでは「最適なクランク長は良く分からない」というのが答えになります。
単純に「165mmがベスト!」とか「160mmにしたら速くなった!」と言った方が受けは良いと思うんですけどね、どうもそんな簡単な話ではなさそうです。
世に出回っている「ショートクランク化したら〇〇だった!」系の記事の中には、全部で数千文字程度の非常に短い内容で「速くなった!遅くなった!」と述べているブログもあります。
今回クランク長を色々試してみて、
この記事のライターは、一体どこまで突っ込んでテストしているんだろう?
と思ったくらいです。
私は今回のテストで、ショートクランクの流れは単に「クランク長を短くすると良い・悪い」で片付くお話だとは全く思いませんでした。
今回は最終的な結論として出すのではなく、暫定的な仮説として出しておきます。
それは「170mmクランクに特化したクリート位置から一切動かさない」という条件の下でテストしているからです。
- 平地特化であれば165mm。160mmでも走れなくはない
- クライムも半々であるなら165mm
こんなところに落ち着きました。
クランク長の変更は一筋縄では行かなさそうですね。
元より推測はしていましたが、やっぱりクリート位置の変更はマストなのかもしれません。
そうすると、今までスプリントの時に動員していた筋群が変わるので、走り方も変える必要が出てきます。
ショートクランクの波を作った、タディ・ポガチャル。
彼は2023年のさいたまクリテリウム辺りから165mmクランクをテストし始め、2024年のツールドフランスで圧倒的な成績を挙げています。
クランク長を見極めるには今回のテスト期間よりもっと長い時間が必要と言えなくもないですね・・・。
ここで、最適なクランク長を考える上で役立つ可能性がある一つの指標をお教えします。
専門用語で「至適筋節長」という概念があります。
筋肉が、最も力を発揮できる最適な筋繊維の長さのことです。
平たく言うと、マックスパワー出すためにどのくらい伸ばすのがいいか、縮めるのがいいかってことですね。
私は筋トレも趣味でやっており、「フィットイージー」という24時間制のジムに通っています。
フリーウェイトは知識がないのでもっぱらマシン専門ですが、筋トレをしていて思うのは、筋肉を伸縮させる中で、一番力を発揮しやすい関節角度があるということです。
例えば片脚レッグプレス。
シート位置を、片脚で上げられる1番重いウェイト(今時点では135kg)が余裕を持って上がる位置に合わせ、そこからシート位置を一段階前後に移動させた計3ポジションで上がる重量をテストしてみたことがあります。
シート位置を変えるのは、疑似的にクランクを伸ばしたり、縮めたりするイメージに近いです。
- シート位置が前→初期位置で膝が深く曲がる=クランクが長いイメージ
- シート位置が後→初期位置で膝が浅く曲がる=クランクが短いイメージ
ベスポジだと初動は大腿四頭筋+股関節、徐々にハムストリングスや大臀筋に負荷がかかっていくため、トータルで見ると脚全体に刺激が加わっている形になります。
次にシート位置を深くすると、錘を2、3段階軽く(135kg→100kgくらい)してようやくべスポジと同じ感覚で上がり出します。
ただ、初動が同じ感覚なだけで、べスポジと同じ関節角度になると軽くしている分負荷は軽いです。
初動重くなるのは、アウターマッスルが力を発揮しにくい長さになっており、それより力が弱い股関節が主導で動き始めるため、負荷を軽くしないと動かないと考えます。
筋トレ的には、シート位置を深くした方が力を発揮しにくい位置から筋肉を動かした方が負荷をかけられるので良いですが、ロードバイク的には無用な負荷を身体に加えていることになるので良くないです。
次にシート位置を浅くした場合、最大重量はべスポジと変わりません。
ただ、下肢の中でも大腿四頭筋より脚裏側の大きい筋肉を主として使っていました。
この結果をそのままロードバイクに当てはめられるわけではないですが、同じ負荷を持久系の筋肉で賄えるなら、そっちの方が良いとも思えます。
さあ、難しい領域に入ってきましたよ。
ここで今回の検証の本題に入ります。
スプリンターの場合、クランク長はどう決めれば良いのでしょう?
スプリントにおいては、脚の前側にある大腿四頭筋をはじめとする「速筋」を動員する必要があります。
レッグプレスでのテストやクランク長のテスト結果を基に考察すると、大腿四頭筋などはある程度の膝の高さから脚を伸ばすことで初めて動きます。
つまり、受動的に動かしたいなら「クランク長は長め」という選択肢もあり、ということになります。
もちろん、ポジションを自ら調整することで意図的に使うことも可能です。
私的には、ポジションで調整して使う筋肉を変えられる方が良いのではないか、と思います。
最初は、可能な限り長めのクランク長にした方が大腿四頭筋も満遍なく動かせるから良いと思っていました。
今回の例で言うと、テストしていませんが「167.5mm」も選択肢として良いんじゃないかと思っていました。
逆に160mmのような、自分の脚の可動域より小さな動きを強いられるクランク長は、使おうとしないと速筋を使えない=スプリントを捨てていると考えていました。
ですが、ロードバイクって「楽に・速く」乗る乗り物ですよね。
その可能性を大いに秘めているのが、クランク長のショート化だと私は考えています。
ということで、次回は「クリート位置とクランク長の関係」について考えてみます。
ちょうど一足、私の足で最も力が乗る位置にクリートを合わせたシューズがあります。
それでテストしてみたいと思います^^
【まとめ】
最後に、まとめ行きましょう!
今回のテーマは以下の通り。
【検証シリーズ前編】7年ぶりにクランクを170mmから変えた話【ショートクランク】 でした。
そして、本稿の結論は
クランク長はクリート位置と深い繋がりがある可能性大
これですね^^
次回はクランク長に合わせてクリート位置を見直して、それから走ってみようと思います。
結構大変なんですよね・・・クランクも長さ違いで全く同じモデルってわけじゃないから、厳密にはQファクターとかも変わっています。
ELILEEはQファクター151.5mm、R9100までのシマノクランクは146mm、160mmのR7100は148mm、MAGENEは147mmです。
ばらばらです。
サドル高さも厳密にいじらないといけない上に、次はクリート位置が変わるので、基準作りが一番大変。
でもやります、向こう十年戦える、最適なクランク長探しのために・・。
私が思うに、身体の使い方に合うクランク長というのはもちろんあると思います。
それと同時に、クランク長に合わせた回し方もあると思っています。
どっちが正解というのは無くて、最終的に到達すべきゴール「自分の脚が円運動する上で快適な軌道を探り当てること」です。
ここに辿り着くには、クランクをたくさん用意し、色々と条件を変えながらテストするしかありません。
最近は中華で安価なクランクが多いので、試すだけならそれでも良いかもしれません。
長すぎてもダメ、短すぎてもダメ・・・クランクは奥が深いです。
今回の記事が、クランク長を探す一つの材料になれば幸いです。
以上、参考になると嬉しいです^^
それでは今日も、ありがとうございました!