【ハンドルの妙】コンパクトハンドルがスプリントに向かない理由

こんにちは、コウです^^

それでは今日も元気よくやっていきましょう!

本日のテーマはこちら。

 

【ハンドルの妙】コンパクトハンドルがスプリントに向かない理由

 

こういうテーマでやっていこうと思います^^

ロードバイクの象徴とも言える「ドロップハンドル」。

カッコいいですよね^^

私はこの形状が好きで、ロードバイクにドハマりしました(笑)

そんなドロップハンドルですが、今現在販売されている完成車、アフター品含め、大部分を「コンパクト形状」が占めているのが実情です。

この形状、個人的にスプリントを主戦場とするならば「使わない方が良い」と考えています。

まあこんなタイトルを付けていますが、かくいう私も「スプリントで使う」という条件を除けばコンパクトハンドル信者です(笑)

なだらかな下ハンのカーブがもたらす手への馴染み易さは素晴らしいですからね^^

それ故に気楽なポジションを取れるので、私の通勤バイクにはコンパクトハンドルを充てています。

昔はコンパクトハンドルでスプリント用のポジション出しをしていた事もありますので、頭ごなしにコンパクトハンドルを否定しているのでは無いのです。(とある理由により、丸ハンドルから脱する計画も検討していますしね)

ただ、色々なハンドルを使用してきた経験から、スプリント」というニッチな分野ではコンパクトハンドルに価値を見出せません

今回はその理由についてお話しようと思います。

 

多方面から怒られそうなタイトルですが、実際使っていてそう感じるんですから仕方ないです(笑)

そもそもスプリントのためのブログという時点でかなり偏った見方をしていますので、この前提を置いてご覧ください。

もちろん、単なる批判で終わらないようにしますので、ぜひ参考にしてみて下さい!

 


コンパクトハンドルがスプリントに向かない理由

 

ではいきましょう。

ロードバイク歴はもう10年ほどになりますが、その間に使用してきたハンドルの数は両手で数えられないくらい多いです。

シャロー形状もとい「丸ハンドル」、ストレートな下ハンが特徴的な「アナトミックハンドル」、手の馴染みが良い「コンパクトハンドル」といった、世に出ている大抵の形状は全て押さえており、各カテゴリーのハンドルの形状違いも使ってきました。

例えば、

  • 丸ハンドル:浅曲がり深曲がり
  • アナトミック:ストレートガングリップ
  • コンパクト:リーチの奥の方で丸くなる丸ハンドルに近いタイプや、なだらかなカーブが続くタイプ

などなど^^

コンパクト形状に限って言えば、最近の形状でも難しい(DEDA SUPERZERO)、ドロップ量が多いディープ形状もスプリント向きではなかったですね(PROFILEDESIGN DRiVe AERO)。

 

という事で昔話はこのくらいにして、本題であるコンパクトハンドルがスプリントに向かない理由を紹介していきます。

  1. 下ハンの押し引きが難しい
  2. 落差が不足する

順番に見ていきましょう^^

 

下ハンの押し引きが難しい

コンパクトハンドルは持ちやすさと引き換えに、スプリントで大切なバイクの振りに関わる動きが制限されやすいです。

具体的に言うと、腕全体、特に肘関節をロックしやすいハンドルの握り方になります。

 

ここから先は感覚ベースのお話になりますので、写真を多数交えて進めます。(重くなりますので、Wi-Fi環境下で閲覧いただくのが吉です)

という事で、FOILに付けているZIPP SL88ハンドルと、通勤バイクに付けているDEDA ZERO1ハンドルを例に見てみましょう。

まずはFOILから。

 

スプリントに限らず、下ハンを握る時はこの位置を良く握ります。

この状態から手を開くと、

こうなります。

触れているのは、掌の小指球、指三本、親指の付け根の三点です。

特に指については握りこんでいるのではなく、小指~中指の三本の「第二関節」を下ハンに引っ掛けて軽く握っているだけです。

ここで大事なのは、指三本まで掌の小指球です。

 

まず 指三本まで について。

小指、薬指、中指までで握りこぶしを作って、その状態で肘の曲げ伸ばしを何回か素早く曲げてみて下さい。

次に、ここに人差し指を加えて握りこぶしを作り、同様に肘を素早く曲げ伸ばししてみて下さい。

どうでしょう。

多分多数の方が、前者の方が素早く曲げ伸ばし出来たことと思います^^

何が言いたいかと言いますと、人差し指を含めて手を握りこんでしまうと、肘関節の動きを硬直させてしまうのです。

なぜそうなるのか?

理由は、肘をまたぎ、人差し指に繋がる筋肉が動くから

これですね^^

すいません、調べてみましたが、具体的にどの筋肉なのかを明言する事はできません。

ただ、小指~薬指を動かす筋肉が上腕内で留まっているのに対し、人差し指、親指を動かす筋肉は肘をまたいでいる事までは把握しています。

推測ですが、そのためにハンドルの押し引きや振りに対して腕を伸縮させる必要があるのに、肘周りの筋肉がロックされてしまい動きづらくなると考えます。

指を引っ掛ける握り方にする事で、スピードを乗せていく時や、最後までもがき切る上での胴体〜下半身の動きとの連携が上手く取れるようになります^^

 

次に、 掌の小指球 について。

指で引っ掛けているだけの手を固定する際、小指球をしっかりハンドルに置けるのも大切です。

 

ZIPP SL88だとこんな感じ。

実際、下ハンの真っすぐになっている部分に小指球を当てています。

当然手自体はしっかり固定してあげないといけないわけですが、小指球で固定するのは、指三本で握りこぶしを作る上で、母指球より握りこみやすいから。

そして副産物として、手の下の方でハンドルを握りこんでいるので、手首が寝て腕の位置が下がり、上半身を低く抑えやすくなります。

つまり、スプリントの敵である「空気抵抗」を低く抑えられるようになります

 

以上の理由からこの二点は、ハンドルをしっかり握る上で外せないポイントですね^^

この握り方がすんなり出来るのは丸ハンドルだけであり、他のハンドルには変え難い価値でもあります。

また、指を引っ掛ける握り方の場合、基本的にハンドルの押し引きのうち「引き」が主体になります。

私としては、体幹で胴体の位置を固定し、自分の方に向かってハンドルを引っ張る方が調子良く走れるので、丸ハンドルが好きというのもあります^^

足が回るし、全周に渡って力をかけやすいのでね。

 

 

一方、コンパクトハンドルではどうでしょう?

大抵のコンパクトハンドルにおいて、下ハンの握り方、および握る位置はこうなると思います。

この状態から手を広げてみると、

思いっきり掌がハンドルに触れています。

掌全体での握り心地が優先される形状故に、先ほどの丸ハンドルの握り方と真逆になります。

 

握りこむと掌全体が下ハンに付きます。

握りこみの起点が母指球になるので、握りこぶしを作るイメージでいくと、人差し指が主体になった指四本で握る事になります。

小指球で手を支えたくても、バーがなだらかに下に向かっているため、小指球の支えが欲しい位置にバーがいません。

すると、掌若しくは親指の付け根側で支えようと、手首が起きてきます。

そうなると腕が上に向かうので腕が突っ張りやすくなり、上半身が起きてきます。

ハンドルを引く事はできるので足の回転は上がるでしょうけれど、腕が突っ張っているので空気抵抗が増える方に向かいます。

 

これは妄想やエアプではなく、とっかえひっかえによる差異をまとめた上での結論です。

私もそうですが小柄な人の場合、絶対的なパワーがどうしても低くなりがちです。

故に少しでも空気抵抗を減らしたいと思うのが心理でしょう。

なのにその逆を行くのが、コンパクトハンドルというわけです。

これが私がコンパクトハンドルがスプリントに向かないと考える最大の理由です。

嘘だと思う方は、ショップに出ているコンパクト形状のドロップハンドルを握ってみて下さい。

掌全体で握る分には良いけど、しっかり握りこもうとすると肘周りの筋肉が少しでも硬直するはずです。

加えて、コンパクト形状はどこを握っても同じような握り心地になる設計なので、握る位置によって感覚を変え辛いというデメリットもあります。

本当に巡航特化な形状です。

 

落差が不足する

 

古くから伝えられている内容ですが、スプリントにおけるハンドル位置の基本は「低く・遠く」です。

懐古主義でも何でもなく、実際その通りだと感じています。

丸ハンドルは問題なくこれを満足できますね^^

では、コンパクトハンドルの場合どうでしょう?

 

コンパクトハンドルというと、一般的にこういう形状ですよね。

この形状、見た目からも分かりますが、下ハンが体から遠くに行くほど上がってきています。

逆に、一番落差が出る位置はバーエンド部です。

これが何を意味するかというと、スプリントにおける「低く・遠く」の原理原則から外れてしまいます

一番遠い位置で握ると、かなり上で握る事になります。

逆にある程度落差がある位置で握ろうとすると、今度はリーチが不足してきます。

仕方ないからそれぞれの良いとこどりした位置に下ハンを設置すると、今度はステムが長くなり、角度もきつくなって、ブレーキレバーがものすごく低い位置に…というジレンマが起きてきます。

しかも握りたい位置はブレーキレバーに指がかろうじて掛かるかという位置で、変速も難しいというおまけ付き。

 

これ、実際に私がコンパクトハンドルでスプリントポジションを出していた時に嵌まった「沼」です(笑)

その形状故に、どう足掻いても何かを我慢しなければならず、非常に迷走していました。

結局、スピードを求めるどころかバランスを取る事すら難しいようなポジションで乗っていた時期もありました。

では、コンパクト形状でもドロップ量を増やせば解決するのか?というと、

結論:ノー

です。

ドロップ量130ミリでも十分満足いくスプリントフォームを獲得できるSL88を前にすると、ドロップ量を150とか160ミリにしたところで実際に握る高さに大きな変化は起きません。

ドロップが増えても、下がりながら手前に来る時点で一緒なんですよ。

そういった点も、コンパクトハンドルを辞めてしまった一因です。

 

ちなみに今の通勤車はどうしているかというと、

めちゃくちゃしゃくっています(笑)

先の写真、背景の壁がやたら傾いているので「あれ?」と思った方もおられると思いますが、本来の姿はこれです。

これでそれなりに使える状態です。

 

ちなみにちなみに、このセッティングは鈴木譲さんのnoteにも記載がありますので、そちらを読まれるとこのセッティングのメリットをより詳しく知る事ができます^^

 

 


エアロハンドルにコンパクト形状が多い理由を考える

この項はただの戯言を書きます(笑)

 

昨今のエアロブームは凄まじいものがありますよね。

ホイールはかなり古くからエアロ化されましたが、ハンドルも最近は結構攻めたデザインのものが多い印象です。

個人的には、使い勝手よりカッコよさが上回るから「エアロハンドル買いたい!」と思っているくらいです(笑)

 

ところで、各社様々なエアロハンドルを出していますが、コンパクト形状が殆ど占めている事にお気づきでしょうか。

コンパクト形状じゃないエアロハンドルを挙げるのが非常に難しいくらい、どこもかしこもコンパクト形状です。

私の好きな丸ハン形状のエアロハンドルは壊滅的です(笑)

2023年現在、私が把握している丸ハンのエアロハンドルは以下の通り。

  • DEDA VINCIシャロー
  • ITM X ONE
  • RITCHEY WCSカーボンストリーム(廃版)
  • CANYON H11一体型ハンドル(廃版)

1/2の確率で廃版です(笑)

これだけしかないのが実情です。

 

なぜそこまでコンパクト形状が多いのか?

私見マシマシ、偏見モリモリの見解ですが、巡航を意識しすぎているのが要因だと考えます。

ロードバイクのエアロ効果というと、「何キロ何ワットを1時間『ずっと』かけ続ける」のが前提にあります。

1時間でも2時間でも、長く淡々とペダルを回し続ける事を念頭に置くと、自ずとコンパクト形状になりましょう。

冒頭でも書きましたが、コンパクト形状はユーザーフレンドリーで手を置き続ける事が得意な形状です。

用途が限定的な上、乗り手の好みも加味すると、加速時の押し引きがしやすい丸ハン形状が採用されないのは致し方ありません。

なんならレバーを持ったカマキリポジションが空力的に有利だから、尚更巡航では下ハンに用はありません。

 

あとは、エアロハンドルの裾野を広げるという目的もあるでしょう。

エアロハンドルは一般的なコンパクトハンドルよりも数が出る製品ではない分、万人受けする形状にした方が売れるというものです。

 


プロはコンパクトハンドルでも結果を出しているが…

 

この手の記事を書くと、こう考える人も出てきましょう。

というか、定期的に出てくる感じですね(笑)

 

プロはコンパクトハンドルを使っても勝っている。だから「コンパクトハンドルはスプリント向きじゃない」は成立しない!

 

私としては言える事はただ一つ。

 

あなたとプロ選手の思想・感性は同じなんですか?好き嫌いも同じなんですか?

 

もしそうならば、プロの選択を信じ続けるのが良いと思います。

確かにプロスプリンターでもコンパクトハンドルを使っていますし、それで勝っている選手も沢山います。

昔で言えばアンドレ・グライペル、マルセル・キッテル。

今だとジャスパー・フィリプセン、ファビオ・ヤコブセン、ディラン・フルーネウェーヘンなど。

但し彼らはチームのスポンサー契約があるので、コンパクトハンドルしか出していないメーカーと契約していたら、それしか使えないという縛りがあります。

その縛りの中で最善を尽くし、成果を出すのがプロであり、仕事としてレースを走る彼らの使命でしょう。

私はマーク・カヴェンディッシュが大好きなので、彼と同じ機材を集めていた時期があります。

その中でたまたまZIPP SL88という一番のお気に入りを見つけたに過ぎません。

ちょうどハンドル探しで沼に嵌まっていた時期だというのもありますが、それ以降パタッとハンドル探しの旅は終わりましたしね^^

 

結局大事なのは、一個人として使いやすい機材であるか、が重要なんですよ。

「プロが使っているから一番良い」は関係ありません。

自分の身銭を切って色々試した経験からいくと、機材探しは「自分らしさ」を作り上げる道のりと同義だと思います。

飽くなき探求心があってこそ辿り着ける境地でもあるので、かなりの根気とお金が要りますが、楽しいものですよ。

むしろプロがどうのこうの言う人にこそ、機材探しの楽しさを知って頂きたいものです^^

 


まとめ

 

最後に、まとめ行きましょう!

今回のテーマは以下の通り。

【ハンドルの妙】コンパクトハンドルがスプリントに向かない理由 でした。

そして本稿の結論は、

一個人として使いやすいハンドルを見つけよう

これですね^^

私としては丸ハンドルを推したいところですが、千差万別 、十人十色、人の数だけ好みがあります。

ハンドル周りはバイクの扱いやすさ、ハンドリングといった性格を変えるだけでなく、送りしゃくりのセッティング次第で乗り味に大きな違いが出てきます。

色んなハンドルを試して、合うハンドルを見つけてみるのは面白いですよ^^

まあ十何本も試すと、部屋がハンドルだらけになって嵩張って仕方ないですけどね(笑)

皆さんのハンドル探しの参考になれると嬉しいです^^

 

以上、参考になると嬉しいです^^

それでは今日も、ありがとうございました!

 

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