こんにちは、コウです^^
それでは今日も元気よくやっていきましょう!
本日のテーマはこちら。
【レビュー】VITTORIA CORSA PRO SPEED TLR【クリンチャーでも速いと分かる】
こういうテーマでやっていこうと思います^^
今年のシマノ鈴鹿用に買った、純レース用タイヤ。
その名も「CORSA PRO SPEED」。
グラフェン素材を採用したCORSA G+シリーズの現行「CORSA PRO」のTTバージョンタイヤです。
CORSA G2.0まではSPEEDはチューブラーとクリンチャーの2本立てだったのですが、今作は最近の流れに乗ってしまい、TLRタイヤ(チューブ運用の併用可)というスタイルでリリースされています。
せっかくCORSA PROにチューブラーがあるなら同じように作ってほしかったですが、世界中の流れを見ているとそうも言ってられないのでしょうな。
それはさておき、このタイヤはUAEチームエミレーツXRGが使う、コンチネンタル「GP5000TT TR」よりも速いというのです。
昔からチューブラーでもクリンチャーでもCORSA G+を愛用してきた者として、このタイヤが気にならないわけがありません。
レース数回と軽くトレーニングライドしたインプレッションになりますが、どんなタイヤなのか、私なりに気になったポイントも交えて紹介していこうと思います!
ぜひ参考にしてみて下さい!
【メインターゲットはTT・ヒルクライムといった「等速で走り続ける」シーン】
CORSAのスピードシリーズは、代々TTやヒルクライムのような、一定スピードをキープする種目において最速という触れ込みで出ています。
そういう点は他のTTタイヤも同じです。
クリンチャーではピレリ「P ZERO RACE TT」だったり、チューブラーではヴェロフレックス「RECORD」などを使ってきました。
銘柄が少ないので断定できませんが、正直私の印象だと、TTタイヤってサイドグリップはもちろん、縦方向のグリップ力が薄く、コーナリングは危ういしトラクションもあまり強くはかかりません。
車で言うところの「低燃費タイヤ」みたいなものかなと。
転がる事に関してはピカイチ、それはその通りというかそうであってほしい部分です。
ですが、そのために他の要素を犠牲にし過ぎているんですよね。
- 軽さを求めて全体的にぺらっぺらでタイヤ剛性が無い
- トレッドゴムはロードレース向けタイヤに比べるとグリップが弱くドライのカーブでもアンダーが出やすい
- そもそもトレッドゴムの幅が狭くてカーブで倒し込めない
・・・などなど。
良いところある?って感じに思っていました。
今回のCORSA PRO SPEEDもそうです。
ロードレースタイヤの代表として、手持ちのGP5000と比べても、トレッドゴムの幅が少し狭いです。
ただ、箱から出して触ってみた段階では、これまで触ってきたTTタイヤほどグリップ力が弱そうかというと、そんな印象は受けません。
実際、トレッドの中央部は転がり抵抗削減のためにスリックとなっています。
しかしサイドトレッドは他のCORSAシリーズと同様、縦のグルーブが入れられています。
CORSA PROとは比べるまでもなくグルーブの本数が違いますが、これによりコーナリング時のグリップを稼ぎに来ていると推測します。
基本はチューブレスレディ だが・・・
CORSA PRO SPEEDは、チューブレスレディタイヤとしてリリースされています。
ただ無印CORSA PROもそうですが、チューブド運用も可能というスタイルで出しています。
ほおん。
じゃあクリンチャーとして使うか。
ということで、ラテックスチューブを用意しました。
私はチューブレスレディというタイヤ構造が受け入れ難く、これで走らせる気になれません。
とはいえブチルチューブをこのタイヤで使うのか?という疑問もあり、結果的にラテックスチューブになりました。
使用先のホイールは、NEPEST NOVA45。
内幅23ミリに及ぶ巨大なTLRリムです。
リム側の作りもあってはめ込みは少し固めですが、手で何とか嵌まります。
私の体重66kgで、空気圧は5.6~5.8barくらいがいいところでした。
【CORSA PRO SPEEDインプレッション! 初めてタイヤで感動した】
では、インプレッションに入ります。
と言ってもシマノ鈴鹿と草津ナイトレースと軽いライド、合わせて200キロにも満たない使用なので、パンクなど耐久性は未知数です。
あと雨の中も走っていませんので、ウェットグリップも未知数です。
それでも、このタイヤを選びたい方の思いとしては
- 転がりの軽さを実感できるのか?
- 物理的な軽さを実感できるのか?
- グリップに不満は出ないか?
といったところだと思いますので、タイヤの良し悪しを語るには十分な条件だと思います。
ちなみにシマノ鈴鹿において、前輪に使っていたタイヤのトレッドゴムがクリンチャー運用なのにぼこぼこと浮いてくるトラブルがあり、ビットリアブースにて急遽新作の29Cタイヤに取り替えてもらっています。
内幅25ミリで29Cなので、NOVAに取り付けると28Cくらいのタイヤになります。
走りだしで分かる、圧倒的な転がっている感覚
ペダルをはめて、ひと漕ぎ、ふた漕ぎ。
この短い時間の間に、これは他のタイヤと違うと感じ取れます。
いつもと同じ速度まで加速させるために必要とするトルクが少なく済んでいるのが、はっきりと分かります。
似た経験を昔しており、パナレーサーの「AGILEST FAST」も転がりが軽いことが感じ取れたタイヤでした。
CORSA PRO SPEEDはその時の感覚とは比べ物にならないくらい「転がるとはこういうことだ」と訴えかけてきます。
月並みですが、踏んだ力が刹那的にスピードに変換される、そのくらい感覚と実際のスピード感にダイレクト感があります。
え?VENGEってこんなに速かったっけ?
と、まるで違うバイクに乗っているかのような印象です。
スピード維持能力はどのタイヤより高い
かつて使用していた、ヴェロフレックス「RECORD」。
このタイヤのクリンチャー版は、皆さんご存じBRRでも上位に位置すると結論付けられています。
私のはチューブラー版なのでBRRには出てきませんが、エアロコーチのテストには転がり抵抗が掲載されています。
テスト条件がBRRと違いますが、55km/hで17.8W。
条件が違うので一律に比べられませんが、ローラーとドラムという、どちらも似た装置を使ってテストしています。
この試験方法ではチューブラータイヤは全体的に転がり抵抗が高く出る傾向にあります。
では実際使ってみてどうだったか?というと、全然転がっている感じがしませんでした。
これ本当にTTタイヤ?トレーニングタイヤの間違いじゃないの?
と思ってもおかしくないくらい、何も飛び道具感を感じません。
スピード維持は普通のロード向けタイヤと変わらないし、どんなに空気圧を調整してもサイドグリップが稼げず、コーナーを抜ける度に他の選手と確実に差が開いてしまって、レースでろくに使えたものではありません。
期待度が高かっただけに、自転車人生の中で初めてハズレを引き当ててしまった・・・と思ったほどです。
そんな経験もあって、TTタイヤと言っても別に大したことないと思っていたのです。
ところがどっこいごっつぁんどすこいそうはいかんまる。 急にどうした?
CORSA PRO SPEEDはその名に違わず、物凄くスピードを保つのが楽。
どんなに転がり抵抗が小さいタイヤであっても、これまでのタイヤたちは多少は回し続けるためにトルクを要してくるものが多かったです。
もちろんこのタイヤもそうですが、必要なトルクがあまりに少ない。
転がっていったらずっと転がり続けようとする性質を持っています。
本当のTTタイヤってこういうものなんだなと、いう感じです。
バンクを深くしても意外としっかり食いつく
最も意外だったのが、コーナリングのバンク角。
草津ナイトレースは下り切った先の1コーナーがそこそこタイトなので、スピードが乗る割に進入ラインとバイクの倒し込みが結構重要になります。
正直、所見だと面食らうコーナーです。
そんなコーナーを相手にして、TTタイヤってこんなに曲がれるんだ、と思いました。
CORSA PROの特徴を受け継いでいるのか、「曲がる」ことも容易にこなす稀有なTTタイヤじゃないかなと。
加えて、ここから先はちょっとまずそう、という限界点が掴みやすいのも特徴です。
曲がることが本命のタイヤじゃないからこそ、いきなりずるっと滑り出さない、ここがリミットですと分かるのは大きな強みと言えます。
「ここが弱い」とはっきり認識できるのなら、気にするほどのことではないです。
しなやかすぎて、タイヤ剛性はさほど高くない
上述の通り、私はクリンチャー運用なのでチューブレスより空気圧は高い状態で運用しています。
加えて、私の環境はラテックスチューブ。
ラテックスチューブは変形のしやすさが特徴。
ゆえに地面の凸凹に対ししなやかに追従できるから乗り心地が良いというメリットがあります。
それを逆手にとって少し高めに空気圧を上げても、コットンベースのケーシングも相まって、乗り心地は本当にやわらかで優しいです。
サーキットみたいなパンクを気にしなくていい綺麗な舗装路では全く活かすことができない、もったいないくらいの乗り心地の良さです。
その一方で、しなやかすぎてタイヤ自体の変形が大きく、瞬間的に大トルクがかかるシーンでは若干よれるというか、タイヤが横移動する感触があります。
滑るほどではないですが、浮遊感というか、あまり派手に荷重を抜くとRECORDみたいに滑っていきそうな危うさが垣間見えます。
ヴェロフレックス RECORDがまさにそうですが、TTタイヤは刻々と変化するトルクの波に弱い傾向にあると思います。
事実、シマノ鈴鹿の最終コーナーでRECORDが滑ったのは、踏み直しをした瞬間でした。
それまで伝え続けられたリア荷重がペダリングが止まったことで一瞬抜け、そこからペダリングを再開して一気に何百ワットのパワーがかかったこと、そしてバイク側の姿勢の変化が重なり、ずるっといったと思われます。
CORSA PRO SPEEDはそんな素振りは今のところ見せないですが、浮遊感は少し感じられます。
トレッドゴムの劣化が進んだ先でどういう挙動を示すかは未知数ですね。
このタイヤを扱う上で、個人的に気を付けたいポイントを挙げます。
TPUチューブとは相性が良くない可能性があります。
TPUチューブはラテックスチューブとは対照的に、硬質な乗り味になります。
一方でCORSA PRO SPEEDは、しなやかさを武器にグリップを生み出す系のタイヤです。
TPUチューブでシマノ鈴鹿の1日目を走りましたが、その時の空気圧は5.5barほどで走っていました。
ところが、草津ナイトレースで感じた直線のペダリングの軽やかさ、コーナリンググリップの高さが薄れていました。
というか、普通のタイヤを履いているような感覚でした。
チューブがタイヤ側のしなやかさを奪っていたのか、同じタイヤを使っているとは到底思えないほど別物でした。
結局一日目が終わってすぐに、ラテックスチューブに戻しました。
TPUチューブは扱いが難しいですね。
【まとめ】
最後に、まとめ行きましょう!
今回のテーマは以下の通り。
【レビュー】VITTORIA CORSA PRO SPEED TLR【クリンチャーでも速いと分かる】 でした。
そして、本稿の結論は
このタイヤは他の人には使ってほしくない・・・
これですね^^
インプレッションするだけしておいて、「お前らは使うな!」とはこれ如何に(笑)
でも、そのくらい競技ガチ勢の皆様にはお勧めできるタイヤです。
コーナリングの限界点とパンクに注意という但し書きは付きますが、そこさえ飲み込めばこれほど良いタイヤは無いんじゃないかと思います。
いやまあ、スペシャライズドのRAPIDAIR RACE ONLYとかGP5000TT TRとかENVEのSES RACEDAYとか、気になるタイヤは多いんですけどね。
これらタイヤもCORSA PRO SPEEDに肉薄する、或いはある点においては性能を上回るかもしれません。
例えば、私が弱点に上げたタイヤ剛性とグリップ限界点をすでに克服した、同じくらい軽やかな走りを提供してくれるタイヤがこの中にあるかもしれません。
しかしコストパフォーマンスも含めて考えた時、CORSA PRO SPEEDは「数ある最速タイヤの中でもトップオブトップ」として揺るぎない地位を確立すると思われます。
何せ今挙げたタイヤたちは1.5~2万近くする、超高級タイヤなんですよ。
チューブレスレディタイヤとホイールが普及した今、ハイエンド級のチューブレスレディタイヤは軒並み昔のチューブラータイヤ並みに高騰しているんです。
タイヤ一本に2万って、自動車でそんな大金はたこうとしたらレヴォーグのようなDセグメント級の車に乗らないとかかってこないコストです。
ところがCORSA PRO SPEEDなら1万円前後で手に入ります。
2本買ってようやく競合タイヤ1本と張り合える値段です。
これがお買い得と言わずに何と言うか?
24Cから2ミリ刻みでサイズ展開しており、リムブレーキ派の方にも配慮したサイズがあるのもポイントが高いです。
VITTORIAという名の知れたメーカーという安心感もついてきて、このコストで最速タイヤが買えるのは、賞賛に値すると私は思います。
公式の上ではCORSAシリーズは皮むき不要なので、付けたらそのままレースに行っても大丈夫です。
事実、私は29Cを皮むきせずにレースに出て、無事何事もなく帰ってこれていますから。
以上、参考になると嬉しいです^^
それでは今日も、ありがとうございました!