【真面目に検証シリーズ】カーボンスポークホイールは救いの一手になり得るか【LUN HYPER】

こんにちは、コウです^^

それでは今日も元気よくやっていきましょう!

本日のテーマはこちら。

 

【真面目に検証シリーズ】カーボンスポークホイールは救いの一手になり得るか【LUN HYPER】

 

こういうテーマでやっていこうと思います^^

 

最近のロードバイクのホイールと言えば、ディスクブレーキ用ホイールばかり最新モデルがリリースされます。

一つのメガトレンドなので仕方ないですが、リムブレーキユーザーには寂しいものがあります・・・。

 

まあそれはさておき。

ホイール周りはいつの時代も色々とトレンドが巻き起こっていますが、最近のトレンドの一つが「カーボンスポーク」。

スペシャライズド傘下の「ローヴァル」や、スコット傘下の「シンクロス」といった、ワールドツアーチームに機材供給しているメーカーもいよいよ参入してこようとしています^^

そんなカーボンスポークですが、真新しい技術と言うわけではありません。

大昔まで遡ると、1998年頃、GIANTが「MCR」というバイクに合わせる形で「Rigida Carbon」という名前の、巨大なJベントスポークのカーボンスポークホイールを作っていました。

 

これですね^^

めっちゃスポークが太いですが、リムはカーボンではなかったと記憶しています。

 

時は流れ2010年前後、ライトウェイト「マイルシュタインオーバーマイヤー」やマビック「COSMIC CARBON ULTIMATE」と、レイノルズ「RZR」といったモデルも登場。

これらは対岸のリム同士を一本のスポークで繋いだコンプレッション構造で、カーボンスポークを実現していました。

コリマも「MCC」というグレードで、カーボンスポークのホイールを出しています。

そして2018年頃、GIANTが「CADEX」ブランドで再びカーボンスポークを投入。

ニップルで振れ取り調整可能な構造として世に送り出してきました。

CADEXはもうずっとカーボンスポークですね。

 

その頃を境に、俗に「中華カーボンホイール」と呼ばれるパーツを作っていた中国の新興メーカーを筆頭に、カーボンスポークのホイールが続々と登場してきています。

特に人気を博しているのが、フレーム開発も手掛けるWINSPACEのホイールブランド「LUN」でしょう。

その開発スピードも然ることながら、低価格でとにかく速いホイールを作り続けています。

例えるなら「カーボンスポークホイールの台風の目」とも言えるメーカーです^^

 

そんなカーボンスポークホイール、見逃すわけにはいきません(笑)

特に昨今の中国新興メーカーは意欲的です。

そう感じるのは、技術的な面で大手メーカー並みの成果を挙げているから。

例えば、

  • リム重量:チューブレスレディリムでも少し前のチューブラーリム並みに軽い
  • ハブ:自前で作っており、完組ホイールとして設計している
  • スポーク:CX-RAY頼みではなくなっている

と、昔の中華カーボンホイールとは一味も二味も変わってきています。

まあ大手ほど製品の信頼性を考えていない、実験的な製品が多いとも言えますが(笑)

機材オタク的には、正直涎ものなプロダクトなんですよ。

 

そんなホイールをテストする機会に恵まれました^^

 

こちらです!

LUN HYPER R45

LUN HYPER R67

HYPER 3.0がリリースされた今、型落ちにはなりますが、今も普通に販売されている主力製品です。

R45は1年以上前に前職の友人が購入していたものをお借りさせて頂きました^^

R67はウィンスペースさんが開催しているレンタルキャンペーンを利用しました^^

 

一体どのようなホイールなのか、色々テストしてみました。

ぜひ参考にしてみてください!


【テストの目的】

今回LUN HYPERをお借りした理由はただ一つ。

決戦用ホイールとして買いか否か

これを確認したいわけです。

なぜか?

「カーボンスポーク」という未知の領域の製品に、一縷の望みを託しているからです。

金属スポークのホイールというのは、多かれ少なかれ「踏み込みに対する反発」を持っています。

これをペダリングのリズムと合わせて撓らせるのか、組み方やリム、ハブ側とのバランスを取って硬くしていくのか撓りを取り入れるのか、設計の思想が出てきます。

ここがカーボンになると、一体どんな乗り味になるのか?

ついでに言うと、チューブレス対応のカーボンリムとしては異次元の軽さを持つHYPERホイール達。

リム幅28mm、リムハイト50mm前後、チューブレス対応なのに400g前後との情報もあるくらいです。(推定値ですが)

エアロな形状と超軽量なリムが、カーボンスポークで連結されるというロマン溢れるホイールなわけですよ、LUN HYPERは^^

 

と言っても、漠然と乗ってみて、「あ~いいっすね~! ここはダメっすね~」では、ただのインプレで終わってしまいます。

もう少し詳細にチェックを入れようと思っています。

テスト項目は以下の通り。

  1. 低速加速性:スタートは時速20キロ前後。体重*10倍前後のパワーを与えて100メートル加速した時、何キロまで上げられるかを評価
  2. 登坂性能:スタートは時速20キロ前後。斜度5%の坂を体重*10倍前後のパワーを与えて100メートル加速した時、何キロまで上げられるかを評価
  3. スプリント:時速40キロから200メートル全力でもがき、何キロまで伸びるかを評価
  4. 巡航性能:2.5キロのテストコースを一定出力で1周回り、総合タイムを評価
  5. ハンドリング:バイクの振りやすさ、倒し込みやすさなどを評価
  6. 脚の残りやすさ:スプリント中や走行中、走行後の疲労感
  7. 官能性能:反発の強さ、かかりの良し悪しなど「フィーリング面」を評価

これらを5点満点で評価してみます。

1と2番が100メートルと短距離なのには理由があります。

あまり長いと疲れて、後半のホイールが不利になるのを防ぐためにそうしています。

また5~7番は定量評価が難しいですが、残り4項目は諸条件を整えれば再現性のあるテストになります。

5点評価の基準は以下の通り。

  • 0~1:他のホイールに即変えるレベル
  • 2:走れるが、心のどこかに不満が付きまとうレベル(レースへの使用は微妙)
  • 3:特に不満なく走れるレベル
  • 4:気持ちよさがあり、ずっと走っていたいと思わせるレベル
  • 5:トレーニング用、レース用、観賞用、保存用・・・いっぱい買いたいレベル

最後だけ持ち上げすぎですね(笑)

テストバイクはこちら。

 

新規加入、Cervelo「S5」。

TMR01に代わって、このバイクを使用します^^

S5のインプレッションはまた後日書きます。

比較対象となるホイールは以下の2本。

  • ビジョン METRON55 SL TU
  • カンパ BORA ONE 50 AC3 TU

さっそくいじくり倒しています(笑)

見た目、一番しっくりくるのは「HYPER R67」ですね。

まあここは評価とは関係ないので、ポイントにはなりません(笑)

 

そして私のスペックも書いておきます。

  • 身長:169cm
  • 体重:68.4kg
  • 最大出力:Over 1400W

という事で、丸一日費やしてテストしてみました!

果たしてどのような結果になるのか?

テスト結果に参りましょう!


【いざ、実走!】

低速加速性

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:時速43.4キロ → 5点!!
  • HYPER R67:時速42.0キロ → 4点
  • BORA ONE:時速41.2キロ → 3点
  • METRON55 SL:時速40.9キロ → 3点

R45は踏み始めた瞬間の加速が圧巻!

ちょっとでも力を入れようものなら「ビュン!」とペダルが下まで落ちていきます(笑)

軽やかすぎて、初めて乗った時はびっくりして笑いが止まりませんでした、いや本当に。

私の場合、ペダリングの仕方を変えないといけなくなるほどの変化でした。

同じようにリムが軽い、デュラエースC24を履いた時でもなし得なかった発進加速の速さです。

化け物級の出だしの速さと、それに付随するスピードの伸びを加味し、5点満点です^^

 

続いてR67。

リムハイトの割に、という枕詞が不要なくらい、加速が軽いです。

なんと言っても、このボリュームで重量は1500g未満ですから(笑)

こちらも化け物級の軽さです^^;

リム重量がR45よりある分、一発目の出だしはR45に分があります。

それでも後述のBORAやMETRONよりも速いため、4点!

 

続いてBORA ONE。

みんな大好き、カンパニョーロの代表格ホイールです^^

タイヤがRALLYとエントリーモデルの重たいモデルなのもあり、加速させる時の印象は「ザ・普通のホイール」

特筆するような癖も無く、「あー、ロードバイクって漕ぎ始めはこんな感じよね」って感じです。

ただ普通だからこそ、ペダリングもいつも通り自然に出来たため、速度の伸びはR45比で-2.2キロでとどまりました。

 

最後にMETRON55 SL。

こちらはBORAとは違い、「CORSA PRO」というトップレンジのタイヤを履かせています・・・が、この領域でタイヤの軽さは出てきません^^;

こちらもBORA同様、特筆するような癖はありません。

気持ちBORAの方が、重量が軽い分軽やかだったようで、スピードで言うとR45比で-2.5キロ落ち。

AACAの印象から、もっと速度落ちが激しいと思っていましたが、単純にTMR01が硬かっただけだったみたいです^^;

 

この試験から分かる事は以下の通り。

  • カーボンスポークホイールは、低速域では軽さ、反応の速さが如実に表れる

これですね^^

これ、クリテリウムのスタートダッシュや立ち上がりではめちゃくちゃ有利に働くと思います。

R45もR67も、どちらも後者二本と比較して物凄く軽やか!

特にR67なんか、こんな分厚いリムハイトで出だしがBORA ONEより速いっていうのには驚かされましたね。

カーボンスポークホイール勢、幸先のいいスタートです^^

登坂性能

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:時速36.1キロ → 5点!!
  • HYPER R67:時速36.4キロ → 4点
  • BORA ONE:時速35.8キロ → 2点
  • METRON55 SL:時速36.0キロ → 3点

 

走った印象として、スピード自体はどれも大きな変化はありません。

軽い人ならもっと顕著な差が表れるのかもしれません。

 

という事で。

R45は本当に別格で上れますね。

上りが苦手な私でも、普段ならまず間違いなく垂れるペースで走っても、「まだ維持できる!回しやすい!」と感じます。

リムが異常なまでに軽いのが効いているのでしょう。

そしてカーボンスポークの恩恵なのか、脚が辛くて踏めない・・・という反発がありません。

これのせいで、掛けるギアを一つ重くしても違和感がないので、ついつい踏みすぎてしまいます^^;

驚きました。

 

続いてR67。

見た目からして上れなさそうなホイールですが、こちらも結構スイスイ上ってしまいます^^

同じくカーボンスポークの恩恵か、BORAたちよりかは脚が辛くなる事はありません。

ただ、リムが硬いためか、R45よりも脚にくる感覚はありました。

その意味では、ホイール剛性はR67の方が高いものと推測します。

 

続いてBORA。

この中で最も脚が辛くなるのが早いホイールでした。

金属スポークらしい、下死点付近でペダリングトルクが抜けたあたりでグッと一伸び進む感覚は良いのです。

ただし、踏み始める際に結構トルクが必要なんですね。

ペダルを踏み下ろそうとすると、グッとホイールが足を降ろさせまいと堪えようとする瞬間があります。

ここで結構脚を持っていかれました^^;

 

ここで気になった点が一つ。

このBORA、あまり撓らないのです。

ワイドリム化されたBORAと、ナローリム時代のBORAでは、どうもホイールが全体的に剛性アップしているようです。

つまり、銘品「ZONDA」のようなカンパニョーロらしさを求めて、ワイドリム化されたBORAを選択すると、

なんか思ってたんと違う・・・

ってなりかねないかもしれません。

 

続いてMETRON55 SL。

意外とこのホイール、上れます。

重量は1400g台と、リムハイトを考えるともう少し軽くてもよさそうなものですが、そんな不利を感じさせない走りです。

いや、重くないだけで、決して軽さも無いのですが、代わりにBORAのように脚に反発を与えてくる事もありません。

それだけでも、上りが苦手な私には好印象です^^

 

この試験から分かる事は以下の通り。

  • カーボンスポークホイールは、登坂時にも軽さ、反応の速さが如実に表れる

これですね^^

R45は速くて当たり前ではあるのですが、最もリムハイトがあるR67の実力に本当に驚かされます。

ここまで、カーボンスポークホイール勢が圧倒的に有利に進めていますね^^

スプリント

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:時速60.2キロ → 2点
  • HYPER R67:時速55.9キロ → 2点
  • BORA ONE:時速61.9キロ → 4点
  • METRON55 SL:時速62.2キロ → 5点!!

多分、皆さんが一番気になるポイントじゃないかと。

カーボンスポークのホイールと、従来の金属スポークのホイール。

スプリンター目線ではどう映るのか、そこが焦点です。

 

 

という事で、まずはR45ですが・・・

R45の牙城、崩れました。

いやいや、ようやく欠点が出てきましたね。

そういうのも私は見逃しませんよ(笑)

詳細に見ていきましょう。

あくまでもテスト内容は、最高速度が何キロまでいくか、です。

最高速度は他のホイールと大差無いのです。

決して遅いわけではありません。

 

気になったのが、ハイパワーを一気に与えた時の「かかりの薄さ」です。

BORAやメトロンのようなステンレススポークのホイールは、踏みだした瞬間から足の裏に反発が伝わってきます。

私はこれを「かかり」と表現します。

これがあるおかげで、ペダルが上死点を越えて下死点まで抜けるまでの過程の中の、一体いつ、どのタイミングでペダルに力を込めれば良いかが暗に分かります。

ところがR45は、どれだけ重いギアをかけていっても「本来このくらいはくるだろう」と予想する足裏への反発の、半分くらいしか伝えてこないのです。

反発が来ないなら、いくらでも踏めそうに思うかもしれないですよね?

私もそう思っていました^^;

でも実際は、反発から来る「かかり」を基に、スプリント中の蹴り出しのリズムを取っているんです。

これって、軽量すぎるホイールによく見られる特徴なんです。

R45は見た目こそディープリムですが、重量で言えばれっきとした「超軽量ホイール」に分類されます。

しかも、ただ軽いだけではない。

重量物であるリムが軽い事に加え、重量が内側に分散しているので、実際のところもっと軽いリムのホイールと似た動きをします。

加えて、カーボンスポークのダイレクトすぎる特性が仇となっているのか、全体的に動きが軽すぎる、と思っています。

実際踏み心地もスカスカしていて、出力を見てもしっかりと踏めていなかったのか、四本中最も低い「1141W」でした。

従って、R45は短いインターバルやゴールスプリントのように、一気にハイパワーを与えて急加速するシーンが苦手と判断します。

やはり完璧なホイールは無いという事か・・・^^;

 

そしてR45の特性がもっと酷くなったのが、R67。

こちらは追い風、下り基調のコースという、実は他のホイール三本とは異なる条件でテストしています。

ちなみに条件自体は、他のホイールより遥かに良いです^^;

出力も「1267W」とまあまあな数値を出していたものの、R45より5キロも低い形になりました。

空力的には四本の中で最も優れているはずなんですが、スカスカ感というか、こちらは空回り感が強かったですね。

踏みたいタイミングで既にペダルが下まで落ちかけている、みたいな感覚で、リズムが全然うまく取れません。

スプリントは、ペダリングのリズム感が大切なので、この欠点はかなり痛手です。

 

続いてBORA。

「ザ・高剛性ホイール」という感触で、しっかり踏めるホイールですね^^

ゴール前のヘロヘロになった状態のラフなペダリングでも、横剛性の高さである程度進ませられる印象です。

そして、やはり硬い(笑)

1243W出ていましたが、それでもまだ少し踏み込みにいかないと撓りを与えきれない印象でした。

R67とはえらい違いです^^;

 

METRON55 SLも金属スポークらしい反発を与えてきます。

しかし、その質はBORAとは異なり、じわっとした反発なため、スプリントの最後まで脚を持続させやすいです。

なのでMETRONは1331Wと、四本中最も高いパワーを出せましたし、最高速度も最も高いです。

ただ、ダンシングでバイクが少し倒れやすいと言いますか、パタパタ倒れ込みやすい印象はあります。

横剛性はそこまで高くないのかもしれません。

 

この試験から分かる事は以下の通り。

  • カーボンスポークホイール、スプリントはからっきしダメ

これですね^^

なぜこのような結論に至ったかは、後ほど考察します。

巡航性能

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:3’57″78 → 4.5点!
  • HYPER R67:3’54″21 → 5点!!
  • BORA ONE:4’02″36 → 3点
  • METRON55 SL:4’01″80 → 3点

ちなみに当日は、北向きの風が吹いていました。

周囲に防風林も何も無いので、追い風と向かい風の両方を食らう形になっています。

 

またしてもカーボンスポークホイール勢が高得点です。

R45が特に凄かった!

山も普通に行ける重量の癖に、平坦でもめっちゃ速いんです。

軽すぎるリムであるが故に、速度落ちも早いものと思っていましたが、空気抵抗が小さいからか、BORAたちよりも失速は少なめです。

一番のトピックは「フロントホイールの存在が消える事」です。

エアロに傾倒したホイールのインプレッションを見ていると、「空気が抜ける」とか「バイクが引き込まれる感覚」みたいな表現があると思います。

あれに近い・・・わけではないかもしれませんが、速度が上がるにつれて徐々にフロントホイールが回っている感覚が無くなっていきます。

そして40キロ手前を境に、フロントホイールが風を受けている感覚すらも無くなります。

何年も前から、斜めからの風に対する抵抗を推進力に変えるような、幅広でリム形状を持つホイールも多くなってきました。

走るだけでも抵抗になるのがホイールなわけですが、抵抗を減らすどころか存在感すら希薄になるのがR45です。

 

そんなR45よりもさらにリムハイトが高いR67。

巡航に関してはもう無敵なんじゃないか・・・とさえ思える速さでした^^;

最近は55~60ミリのリムハイトも珍しくなくなってきました。

BORA WTO60、R9100-C60、コスミックSLR65などなど、昔で言えば50ミリがディープリムだったラインが、徐々に上がってきている印象を受けます。

リムハイトが増えれば当然横風にあおられやすくなる・・・それが常識でした。

R67は、突風が吹かない限り殆ど煽られません。

煽られたとしても、バイク全体がスライドするので、テスト中フロントだけ持っていかれるという恐怖を感じませんでした。

これを買った方は、エンデューロレースはほぼ間違いなく勝てますね(笑)

 

BORAとMETRON55 SLはこの辺りは普通のホイールという印象です。

どちらもリム幅が24~25ミリ程と細身ですし、横風に特化したU字形状でもありません。

ここは少し不利に働いていると予測します。

 

この試験から分かる事は以下の通り。

  • カーボンスポークホイール、巡航はあほほど速い

これですね^^

リム形状によるものと思われますが、特に向かい風のスピードがBORAたちとは数キロレベルで違ってきました。

端的に言えば、風を恐れなくてよくなります^^

ハンドリング

テスト結果・・・もくそもありませんね(笑)

どれもレーススピードで普通に曲がれますので、必要な剛性は備えています^^

R67なんて、あんなにでかいリムを備えておきながら、普通のホイールと変わらないハンドリングですしね。

気持ちMETRON55 SLが、横に倒れやすいかな?という印象です。

脚の残りやすさ

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:5点!
  • HYPER R67:4点
  • BORA ONE:3点
  • METRON55 SL:3点

 

ここからは「カーボンスポークにすべきか否か」の総論に近い部分に入っていきます。

その第一弾。

スプリント以外の要素で言えば、圧倒的にR45とR67に軍配が上がります。

  • 乗り心地が良く、コンスタントに転がす状況では有利な「チューブレスタイヤ」に対応
  • 空力を最大限に活かしたリム形状(理由は後述)
  • 横剛性も確保したワイドフランジなハブ設計
  • 効果があるのか不明なセラミックベアリング
  • 超軽量なホイールセット
  • 20万円前後のバーゲンプライス

みんなの「欲しい!」を全部詰め込んだ理想のホイールがHYPERシリーズだと思います。

ハンビニの考察では、「HYPERはELITEWHEELS DRIVEより横風耐性が劣る」との評価ですが、ずっとV字形状のカーボンリムを使ってこられた方であれば、HYPERの横風耐性には唸らされると思いますよ(笑)

 

こちらはR67のリムですが、HYPERシリーズは2023年モデルにおいて、「F-RAPIDデザイン」なるものを採用しています。

細かい話は公式ホームページを見て頂ければ良いのですが、このデザイン、どうも単なるCFD解析だけで作ったリムでは無いそうです。

WINSPACEはどうやってテストしたかと言うと、「フィールドテスト」、つまりは実地試験ですね。

これとCFD解析を繰り返し行い、最適なリム形状を探っていったそうです。

中国の新興メーカーでこの手法を採用しているメーカーは意外と多く、「FARSPORTS」のホイールもこの手法でホイールを作っています。

FARSPORTS・・・そう、2021年東京五輪女子ロードを優勝した「アナ・キーゼンホファー」選手が採用していたハンドルのメーカーですね^^

フィールドテストは実際に外を走って試験するわけなので、ランダムな要素を含めて最適なリム形状を作ることができます。

但し、現実世界には同じ条件を再現する方法は無いため、試験の再現性は限りなく低いです^^;

大手ホイールメーカー「ZIPP」はフィールドテストに移行しているみたいですね。

風洞よりも現実世界の条件で試験する重要性を認識していると考えます。

 

スペシャライズドなんかは自前の風洞設備を備えて、フレームやホイール、ヘルメット、ハンドルなどのパーツのモックを何種類も作製し、風洞実験を行っています。

リアルに近い結果が出ますが、それでも風洞実験は現実世界との乖離があります。

  • 風向きが常に一定
  • 風速が常に一定
  • ライダーが常に同じ回転数と動作をキープし続けている
  • ペダリング動作に合わせてハンドルや前輪がが左右に泳がない

現実世界では、風速〇〇メートルと聞いても、常に同じ風速で風が吹き続けているわけではありません。

必ず風速に強弱がありますし、風向きもわずかに変化しますし、風速の強弱に伴う乱流の影響もあります。

風の影響を考えるだけでも複雑なのに、そこに「人間の動作」というさらに厄介な変数が加わるため、空力性能を考えるのは至難の業である事は容易に想像がつきます。

現実に即した製品開発が大切、というわけですね^^

 

そんなテストを重ねて生み出されたホイールが「HYPERシリーズ」なわけでして、実際横風が吹こうが少し突風が吹く程度では、普通に走っているのと何も変わりません。

そのくらい使い勝手が良いんです。

 

「カーボンホイールといえばBORA」

ロードバイクに乗り始めた時分から、そんな言葉をよく耳にしてきました。

思いがけない形でBORAを手に出来たわけですが、HYPERシリーズを前にすると「BORAを指名してまで買う価値は感じない」と思ってしまったほどです。

 

・・・スプリントしてみるまではね。

官能性能

テスト結果はご覧の通り。

  • HYPER R45:2点
  • HYPER R67:2点
  • BORA ONE:4点
  • METRON55 SL:4点

 

では第二弾として、スプリントの性能について考察していきます。

HYPERを二本履いてみて最も気になったのが、スプリント時の掛かりの悪さです。

但し、明言しておかなければならないのは、どちらもホイールとしての性能を極限まで詰めているという事です。

 

リムを触診してみたり、スペックを読み漁った限り、私の中でHYPERシリーズは

超軽量ホイール

の色が強く出ていると考えています。

スプリント時に感じた「スカスカ感」や「空回り感」というのは、軽さ一辺倒のホイールに見られる特徴です。

瞬間瞬間の加速度は速いのですが、マイナス方向の加速度、つまり失速も速いです。

ホイール全体の印象としては、そんな感じです。

 

また、私が思うに「リムの剛性不足」も起因しているのではないかと考えています。

R33とR45はリムに「バタフライエフェクト」を採用しています。

 

カーボンシートが四枚使われており、ニップルホールを基点に外へ広がっています。

ニップルホールは強固なんですが、スポークがかからない箇所はやたらぺこぺこと凹みます。

基本的に、スプリントに耐えうるリムはもっと強固でなければいけません。

BORAやMETRON55 SL、R67も触ってみましたが、多少の凹みはあるものの、凹みにくさでいうと下記の通りになります。

  • METRON55 SL>BORA>R67>>>R45

R45は凹みすぎなくらい凹みます^^;

ちなみに他に持っているカーボンホイールですと、

 

のむラボ2号のリムは全く凹みません。

前輪はメカニコJシリーズですが、こちらもかなり固いリムです。

特に後輪は幅20ミリしかないリムですが、これでもっと速くスプリントしていたことを考えると、スプリントのためには軽さよりも「リム剛性」が大切であることが分かります。

 

しかしR67の方がR45よりもリム剛性は高いはずです。

にもかかわらずR45よりトップスピードが伸び悩んだ理由は、「過剛性」と考えています。

スポークが短くなるほど、撓りが戻るまでの時間、反発の時間的な早さは短くなります。

反発が長くても短くても、どっちが良いという話ではありません。

重要になるのは、スプリント時のケイデンスです。

110なのか?120なのか? それは人それぞれですが、何回転で回すのが最も都合が良いかによって、必要となるホイール側の撓る速度も変わってくるのではないかと考えます。

と考えますと、R67は私にとっては単純に合ってないホイールだったと思います。

 


【まとめ】

最後に、まとめ行きましょう!

今回のテーマは以下の通り。

【真面目に検証シリーズ】カーボンスポークホイールは救いの一手になり得るか【LUN HYPER】 でした。

そして、本稿の結論は

LUN HYPER、スプリントには向かないため購入見送り

これですね^^

衝動買いしなくて良かったです(笑)

 

本当にスプリントだけが惜しいと思いました。

例えば脚の残しやすさ一つ取っても、HYPERたちの巡航のしやすさは絶対にスプリント前の加速シーンでは武器になります。

単独で走る時、上りを走る時・・・つまり一定ペースのパワー入力で走るシーンこそ、このホイールが最も輝く瞬間なんだろうと思います。

そこからガッツリ加速させたくても気持ちよく伸びなかったのが、痛かったです。

パワーを入れる瞬間が掴みづらいのは、スプリンターにとって結構痛いです。

 

記事を書いていてふと思ったのですが、個人的には、HYPERシリーズが目指したかったところは「カンパニョーロらしさ」なんじゃないかと思っています。

 

敢えて剛性を落としたリムでしなりやバネ感を作る。

2to1スポーキングで駆動剛性と横剛性を確保する。

駆動側のフランジがやたらでかい。

そしてBORAチューブラー並みに軽い。

カンパニョーロのハイエンドモデルとして君臨し続けるBORAの持つ特徴を網羅しています。

加えて、リムをもっとエアロにする事で差別化を図っている。

そういった特徴を低価格で実現しようとしたのかなと、私は思っています。

単なる憶測ですけどね(笑)

 

そして、今回乗り比べて思ったのが、S5は結構ホイールを選びます。

最終的にどんなホイールと共に走る事になるのか、私にもまだまだ分かりません。

じっくり考えていこうと思います。

 

以上、参考になると嬉しいです^^

それでは今日も、ありがとうございました!

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